研究課題/領域番号 |
25350142
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
今井 孝成 昭和大学, 医学部, 講師 (60365731)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 食物負荷試験 / 耐性獲得誘導 / 食生活 |
研究実績の概要 |
【本研究の意義および重要性】これまでの食物アレルギー臨床の基本は原因食物の完全除去であり、医師は患者を積極的な治癒に誘導する手段を持ち合わせなかった。このため、患者は強いストレス下に晒され、自然に耐性を獲得するのを待つことしか無かった。しかし、昨今の疫学調査や経口免疫療法の結果から、患者は当該原因食物を完全除去するよりも、診断当初から積極的に摂取したほうが耐性獲得に有利である可能性が示唆されている。本研究では、事前に食物経口負荷試験などで診断された食物アレルギー児のうち、3歳未満の年少児で、従来であれば完全除去を指導されていただろう患者を対象に、無作為ランダム化比較試験で少量ずつでも食べられる量を食べていく群と、従来のように完全除去群の耐性誘導率を比較するものである。 【研究実績】本年度は最終年度の解析に向けて、引き続き患者エントリーを継続している。IRBの承認が遅れた関係で、エントリー期間が想定よりも短くなったが、月1-2例ペースでのエントリーが続いており、研究期間内には目標症例を達成できると考える。中間解析症例数までは達成していない。ごく少量の負荷試験は鶏卵(全卵1/32個)負荷試験(n=96)が陽性率30.2%であり、OVM特異的IgE値に有意差を認めた(陽性41.3vs.陰性27.8Ua/ml : p=0.043)。牛乳(3ml)負荷試験(n=94)の陽性率は52.1%であり、ミルク特異的IgE値に有意差を認めた(陽性47.4vs.陰性27.3Ua/ml : p=0.014)。小麦(うどん3g)負荷試験(n=54)の陽性率は53.7%であり、年齢に有意差を認めた(陽性3.0vs.陰性1.9歳 : p=0.029)。引き続き最終年度はごく少量負荷試験を進め、エントリーを積み上げていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院IRBの承認が当初予定よりも遅れた結果、患者エントリー期間が想定よりも短縮している。その結果エントリー患者も想定よりも少なめに推移しており、当初予定していた中間階咳を本年度行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究はシステマティックに遂行できているので、引き続き患者エントリーを積極的に進めていく。 エントリー患者を増やすための対策として以下を実践する。 本研究に参加しなくても、極少量の負荷試験を保護者が希望すれば実施していたが、平成27年度は本研究への参加の意志がない場合は、極少量の負荷試験は実施しないこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
IRBの承認が遅れ、本研究の開始がずれ込んだこともあり、患者エントリーの進捗が順調でなかった側面がある。その結果、本年度予定していた中間解析を行わなかったため、次年度使用額が生じた理由として、それに予算計上していたコンピュータや解析ソフトウエアの購入を見送ったこと、また人件費が必要なくなったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度であり、中間および最終解析を行う。このため、コンピュータや解析ソフトウエアの購入および解析のために人件費を計上する。また副次評価項目である抗原特異的IgG4などの特殊検査項目に関する支出も予定されている。
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