研究課題/領域番号 |
25350144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大藏 直樹 帝京大学, 薬学部, 准教授 (60349256)
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研究分担者 |
忍足 鉄太 帝京大学, 薬学部, 准教授 (00279043)
大石 勝隆 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50338688)
厚味 厳一 帝京大学, 薬学部, 教授 (70276608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血栓症 / 健康食品 / 加齢 / 日内変動 |
研究概要 |
本研究の目的は、血栓を予防するとして利用されている健康食に注目し、それらの血栓予防効果を動物実験で証明し有効物質や作用点を明らかにすること、そして、これらの健康食を用いて加齢により乱れた血液凝固系やその日内リズムを改善し、高齢者の血栓予防に応用することである。研究目的の達成のためには、科学的裏付けなしに信じられている健康食の抗血栓性を証明する必要がある。 平成25年度は、古くから日本や西洋で血流を改善する作用があるとされてきた健康食の血栓予防作用の検討を中心に行った。その結果、あした葉黄汁の分画物が血小板の凝集を抑制すること、黒酢や黒酢もろみ抽出物は、ヒト血管内皮細胞株(E.A.hy926)をTNFαで刺激した時に産生増加するプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)の産生を抑制すること、また黒酢や黒酢もろみは炎症性刺激により血栓傾向を誘導したマウスの血中PAI-1の増加も抑制する可能性があることなどを示した。一方で、西洋で民間薬として利用されてきたプロポリスを摂取させたマウスでは、加齢や炎症刺激による血栓傾向を抑制するともわかってきた。 現在までの成分研究では、プロポリスに含まれるクリシンやあした葉に含まれるキサントアンゲロールが、TNFαで刺激した血管内皮細胞からのPAI-1産生を抑制することを示してきたが、25年度はこれらの類縁化合物を用いた構造活性相関研究により、活性発現に必要な分子中の構造を推測することもできた。 本研究目的の達成のため、次年度はマウスへの経口摂取による有効性の証明、有効成分の同定研究、加齢マウスを用いた検討などを継続して行うとともに、有効物質の作用点の解明研究や時間栄養学的な検討を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血小板凝集の抑制、内皮細胞の血栓形成性変化の抑制、凝固反応の抑制などを指標に複数の健康食の血栓予防作用の可能性を示した。あした葉やプロポリスについては、マウスへの経口摂取での有効性を示し、有効な化合物の同定や化合物構造中の重要部位の推定も行った。黒酢や花粉荷については動物実験とin vitroの評価系による有効性の検討が進行中である。また、加齢による血栓傾向の改善効果の検討については、加齢マウスや若齢から高齢までの長期摂取したマウスによる効果の検討が進行中である。黒酢や花粉荷の動物実験や分画研究は予定よりやや遅れているが、全体として計画はおおむね順調に進んでいるといえる。本年度後半には、最終年度に多くを予定している健康食の摂取時間や日内リズムを考慮を時間栄養学的な検討に向けた準備を開始できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
健康食を用いて、加齢による血栓傾向の予防効果や時間栄養学的に有効な利用の可能性を明らかにするためには、今後動物モデルを用いた検討に多くの比重を置く必要がある。動物実験を効率よく進めるため、当初から予定している動物モデルに加え、血栓症モデルマウスや老化促進モデルマウスによる検討を考慮している。血栓予防効果を分子レベルで証明するための有効成分の同定や作用点・作用機序の解明などは、当初の計画通り同時に進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・あした葉やプロポリス中の有効化合物の探索研究について、これまでに有効性を明らかにした化合物と構造的関連のある化合物を購入して詳しい構造活性相関を調べ、有効な化合物の作用点を明らかにする研究を行う予定であったが、評価系の安定化に時間がかかり、化合物や試薬の発注が遅れたため。 ・分画研究が予定より遅れたため、クロマトグラフィー関連試薬の購入も遅れたため。 ・食品の微妙な抗血栓効果を動物実験で証明するためには現在の動物による評価系を微調整する必要が生じて少し計画が遅れ、実験動物の発注数が予定より少なくなったため。 ・昨年度購入予定であった、化合物や作用点と作用機序解明に使用する試薬を購入する。 ・計画より遅れている動物実験を購入し。昨年度購入予定であった分画研究のための試薬などを購入する。
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