研究課題/領域番号 |
25350146
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (60101565)
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研究分担者 |
戸田 一雄 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80134708)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 香辛料 / 山椒末 / 神経伝達物質 / α-サンショオール / 回腸 / 大腸 / ストレス / ラット |
研究実績の概要 |
香辛料の摂取がストレス下の消化機能変調に有効かどうかを調べることを目的とし、雌雄のラットを用いて実験を行った。ストレスとして1-30日間、+2G(3G群)の重力負荷(1日10分間)を行い、長さ1cmの回腸および大腸切片を摘出し、タイロード液を満たしたマグヌス管中での消化管運動を記録した。実験Ⅰ:香辛料の成分がストレス負荷下の腸管運動をどのように修飾するかを調べた。カプサイシンは雄で1日ストレス負荷の大腸の消化管運動を有意に亢進させ、30日ストレス負荷で回腸運動を有意に亢進させた。一方雌では15日ストレス負荷で大腸の消化管運動を低下させた。α―サンショオールは雄の15日ストレス負荷で回腸部消化管運動を有意に亢進させた。ギンゲロールは雌において1、3日ストレス負荷で大腸部の運動を低下させた。実験Ⅱ:動物をControl群(MF飼料)とSAN群(山椒末を飼料に0.5%添加)に分け、両群共にとストレス負荷群と無負荷群に割り付けた。ストレスの負荷直後、神経伝達物質、α-サンショオール(SANOH)の添加に対する消化管運動を記録した。雄では30日の山椒末摂取並びにストレス負荷を行ったラットの回腸並びに大腸のAChに対する応答性(収縮高、最大応答までの時間)が上昇した。一方雌ではAChや5-HTに対して応答性が減弱し、ストレス負荷期間においても消化管運動に対する効果の統一性はなかった。 SANOHの腸管運動に対する山椒末摂取の効果では、雌では1日の摂取はストレスの有無に関わらず、回腸の腸管収縮高の増大が見られたが、山椒摂取期間が長期化するとその効果に一定性は見られなかった。一方、雄ではストレスの有無やその期間での消化管運動変調に法則性は見られなかった。ストレス負荷15日の雄、30日の雌では、Ad作用後におけるSANOHの腸管運動に対する効果では、SANOHはAdのアゴニストとして作用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定通り山椒摂取効果を解析した。山椒は日本薬局方に記載されている純正品を入手し、ウィスター系SPFラットを用いて摂取させた。科学的解釈可能な結果が得られている。実験動物は主要な結果として、1)アセチルコリンに誘発される緊張性の応答を解析すると、短期間(1日)のストレス負荷では雌雄ともストレスによる腸管運動の変調に対して山椒摂取の効果は見られなかった。2)長期間(30日)のストレス負荷では、雄ラットにおいては、腸管運動の減弱に対して山椒摂取は正の効果が観察されたが、雌ラットにおいては、有意な効果が観察されなかった。 本年度の研究では、ストレスに対する香辛料摂取効果に性差が見られることが観察された。次年度では、他の香辛料(生姜を予定)を用いて、性差を含めた解析をする計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では、ストレスに対する香辛料摂取効果に性差が見られることが観察された。次年度では、他の香辛料(生姜を予定)を用いて、ストレス負荷に対する腸管(回腸、大腸)運動の変調、およびその変調に対する香辛料摂取の効果を性差を含めて解析をする計画である。 最終年度に、実験計画が完了しない場合は、期間延長の手続きを行う可能性も視野に入れて研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要最低限の消耗品を購入した結果、余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
余剰金は消耗品費用として利用するとともに、平成27年度分に合算して、動物購入費用、飼料代、試薬購入等に繰り入れる。
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