研究課題/領域番号 |
25350148
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
花井 美保 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (70337781)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 連続暗黒飼育 / 雄性器 / テストステロン / 生殖器官 / 栄養素 / 生活リズム |
研究実績の概要 |
生活リズム攪乱モデルとして光のオンオフのない連続暗黒下で飼育した幼若雄ラットは、生殖器官の発達が顕著に抑制され、その抑制程度は摂取する栄養素の影響を受ける。平成26年度は、昨年度に引き続き、これまで検討してきたたんぱく質、脂質、必須アミノ酸(11種類)、ビタミン(13種)、ミネラル(5種)のうち、影響の認められた全ての栄養素を組み合わせ、生殖器官の発達抑制を「最も改善する飼料(最良飼料)」、または「最も改善しない飼料(最悪飼料)」を調製し、連続暗黒飼育ラットの生殖器官への影響を確認した。実験動物用の標準飼料であるAIN-93G飼料組成をベースに、低たんぱく質食である9%カゼイン食をコントロール飼料(C)とし、アミノ酸(メチオニン、シスチン、バリン、イソロイシン、スレオニン、トリプトファン)、ミネラル(カルシウム、リン、ナトリウム)、ビタミン(V.D、V.E、VB1、VB6、パントテン酸)、脂質の添加量が異なる最良飼料(G)、最悪飼料(B)を調製した。これらの飼料で4週間、連続暗黒下または正常明暗下で飼育した。実験は2回実施し、2回目(実験2)の飼料は、1回目(実験1)の飼料組成(G1、B1)を微調整した(それぞれG2、B2とする)。C飼料では、実験1、実験2共に生殖器官重量に対する連続暗黒飼育の影響はみられなかったが、G飼料ではG2に比較しG1の方が、明暗飼育条件の影響を受けにくい傾向があった。ただし、G1でも、精嚢や前立腺の発達抑制は防げなかった。一方、B飼料では、B2がB1に比較し、連続暗黒飼育による生殖器官の発達抑制が顕著であった。また連続暗黒飼育のB飼料群では、血中テストステロン濃度は高値であっても生殖器官重量は低値であった。 以上より、最悪飼料の組成は、B2とすることとした。また、最良飼料の組成は、G1の組成がG2より好ましかったが、再度、微調整する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度は「最良飼料」「最悪飼料」組成の決定、平成26年度は、経時的にラットを屠殺し、連続暗黒飼育がホルモン分泌やホルモン生合成に関与する遺伝子の発現リズムへの影響を検討する予定であったが、「最悪飼料」の組成を確定するにとどまり、予定した実験項目まで到達できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度の「最良飼料」の飼料組成を見直し「最良飼料」の組成を確定させる。含硫アミノ酸(メチオニン、シスチン)の添加量を変更する予定である。 「最悪飼料」の組成は確定したため、この飼料により連続暗黒飼育による生殖器官の発達抑制が、どのようなメカニズムで引き起こされているのかを検討する。性ホルモンの合成経路、性ホルモンの機能発現の面から検討を進める。精巣のコレステロールからテストステロン生合成経路にある酵素やアンドロゲンレセプターの発現量を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、遺伝子関連の実験を実施する予定であったが、最適な飼料組成が決定できず、実験を進めるための実験動物のサンプルを作成することができなかった。そのため、予定の実験ができず、遺伝子関連実験用の試薬を購入しなかったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
飼料組成(「最悪飼料組成)」が決定したことから、本年度は実験動物のサンプルを得ることができるため、遺伝子関連実験用の試薬を購入する予定である。
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