研究実績の概要 |
本研究は、栄養教諭制度の導入や食育本法の策定、学校給食法の改正によって学校給食をめぐる環境が大きく変化したこの10年間の給食献立の内容の変化を時系列的に比較し、栄養教諭制度導入により学校における給食がどのように変わってきたのかについて明らかにしようとするものである。研究実施に際し、各県で栄養教諭からなる研究会を構築し、各県の栄養教諭がデータを収集し、解析を行った。全国7県(岐阜、香川、滋賀、石川、富山、広島、鹿児島)での平成17年、21年、26年の3年間の給食献立を収集した。毎日の給食献立に使用されている食材を主食・副菜・主菜区分、料理区分、関連教科、6つの観点からの献立の目当て、基本栄養成分等からなるデータフォーマットを作成し、データベースの作成を行い、この10年間の献立の変化について解析を行った。 また、栄養教諭制度導入によって展開されてきた学校での給食を活用した食教育がどのように家庭に波及しているのかについて、3県の小中学校の保護者(30,000人)を対象とした大規模断面調査結果をもとに検討し、栄養教諭制度導入や学校給食法の改正後の食育展開の波及効果を評価するとともに、給食を生きた教材として活用するための献立作成に有用な食の観点や意識と給食を教材とした食指導の展開法について解析を行った。 本研究により、学校から家庭へ情報発信する際、小・中学校の保護者、および小学生の保護者でも学年が異なる保護者においては、提供する情報を精査する必要があることが明らかになった。また、学校給食がこの10年間で、より明確な目当てをもって献立作成がなされ、特に和食献立が多く提供されるようになっていることが明らかになった。
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