脂質の「過剰蓄積」は生活習慣病の原因と考えられてきたが、近年は脂肪酸の「質」の変化の重要性が指摘されている。この研究では、我々が開発した、高脂肪・高コレステロール添加飼料で脂肪蓄積・肝炎・線維化へと進展する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルSHRSP5/Dmcrを使用する。最終的には、各系統ラットに蓄積する脂肪酸の質やコレステロール摂取の影響を明らかにし、NASH病態の進展との関連性を明らかにする。これらの結果からNASH進展におけるコレステロール摂取の重要性が明らかにされ、今後のNASH新規診断・治療標的および食事療法確立の知見とすることを目的とした。 H27年度は、H26年度までに明らかになった、脂肪酸の質の変化の原因を明らかにするため、不飽和化酵素活性、脂肪酸伸長酵素活性の評価と、肝臓内のコレステロールとトリグリセライドの蓄積量を計測することを計画した。 不飽和化酵素活性は、16:1/16:0を検討することで評価した。その結果、WKY、ALRともに、HFC飼料(高脂肪高コレステロール飼料)で有意な高値を示した。脂肪酸伸長酵素活性は、測定が進まず、Primerを変更して継続中である。肝臓中のトリグリセライド(TG)、コレステロール(T-cho)を測定した。TGはSP飼料群(コントロール)に比較し、HF飼料群(高脂肪飼料)で有意に高値を示した。T-choはSP飼料群(コントロール)に比較し、HFC飼料群(高脂肪・高コレステロール飼料)で有意な高値を示した。
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