研究課題/領域番号 |
25350154
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
榎 裕美 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (90524497)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 低栄養 / MNA-SF |
研究実績の概要 |
3年間の継続研究の2年目は、在宅高齢者の日常の食品摂取の頻度と1年後の低栄養およびADLの変化との関連について明らかにすることを目的とした。 対象は、愛知県蒲郡市の介護支援専門員が担当する登録時の要介護度が要支援1、2、要介護1~5の居宅サービス利用者119名(男性48名 女性71名 平均年齢79.7±10.1歳)である。サービス利用者には、登録時調査として、要介護者の基本属性、基本的ADL(Barthel index)、低栄養のスクリーニング(Mini Nutritional short-form: MNA-SF)、慢性疾患の罹患、さらに在宅高齢者食品摂取頻度調査(多様性食品スコア)を実施した。1年後の追跡調査では、体重、MNA-SFスコア、ADLを調査した。イベント調査では、1年間の入院、入所、死亡までの日数を調査した。多様性スコアは10点満点とし、9点を分割点とし、9点以上、9点未満の2群に分け、解析を行った。1年後のBMIの変化から維持・改善群および悪化群、MNA-SFの点数の変化から栄養状態維持・改善群および悪化群、ADLスコアの変化からADL維持・改善群および悪化群に分け、多様性スコア2群との関係を検討した。解析は、χ二乗検定、ロジスティック回帰分析を行った。 χ二乗検定では、BMI、MNA-SF、ADLスコアの変化と多様性スコアとの間に有意な関係は認められなかった。さらに、BMI、MNA-SF、ADLスコアの変化を従属変数としたロジスティック回帰分析においても、多様性スコアは、これらの悪化を予測する因子とは言えなかった。 1年間の追跡によって、在宅高齢者の日常の食品摂取の状況と栄養状態およびADLとは有意な関係は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年後の追跡調査の結果から、BMI、MNA-SF、ADLの維持改善群および悪化群と多様性スコアの関係を見ることができた。しかしながら、対象者数が少ないため、入院、入所、死亡のイベントと多様性スコアとの関連性を検討することができなかった。今回の研究結果をふまえ、2年後の追跡調査実施後に低栄養チェック表の開発を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2年後の追跡調査の結果から低栄養チェック表の開発を行う。合わせて、低栄養とADL悪化、入院、死亡のリスクとの関連をCox比例ハザードモデルの手法を用い検討を行い、予後悪化因子についての検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費、物品費が予定よりも下回ったことが理由となる。
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次年度使用額の使用計画 |
3年目の最終年度研究となり、研究完結のための人件費を含めた経費および成果を発表するための経費(学会旅費、参加費)、論文執筆のための英文校正、投稿費用、掲載料に使用する。
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