継続研究の4年目は、3年目の目標としていた在宅高齢者の日常の食品摂取の頻度と2年後の低栄養およびADLの変化との関連について明らかにし、低栄養のチェック表の開発を行うことである。 対象は、愛知県蒲郡市の介護支援専門員が担当する登録時の要介護度が要支援1、2、要介護1~5の居宅サービス利用者118名(男性47名 女性71名 平均年齢79.7±10.1歳)である。サービス利用者には、要介護者の基本属性、基本的ADL(Barthel index)、低栄養のスクリーニング(Mini Nutritional short-form: MNA-SF)、慢性疾患の罹患、さらに在宅高齢者食品摂取頻度調査(多様性食品スコア)を実施した。多様性スコアは10点満点とし、平均値は7.6±1.8点であった。統計解析は、Log Rank検定およびCox比例ハザードモデルを用いて解析した。なお、生存分析は、多様性スコアの平均値で分割した、8点以上(n=70)、7点未満(n=48)の2群に分け、解析を行った。 多様性スコアの生存群と死亡群の比較では、生存群が7.8±1.6点、死亡群が7.2±1.9点で有意差は認められなかった。入院、入所の同様の解析においても有意差は認められなかった。Log Rank検定による生存分析では、多様性スコアと入院および入所のイベント発生とは有意な関連は認められなかった。 死亡に関しては、多様性スコア7点未満群は8点以上群に比べ、有意に生命予後が悪化していること、Cox比例ハザードモデルでは、多様性スコア7点未満群は8点以上群に比べ、生命予後が悪化している傾向があることから、8点をカットオフとしたスクリーニング表の作成を試みた。
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