研究課題
骨粗鬆症性骨折のうち最も患者数が多い椎体骨折は軽視されやすいが、種々の疾患リスクの増加や患者のQOL低下をきたすだけではなく、その後の骨折リスクを何倍にも高めることから、再骨折防止に重要である。従来わが国において、新規椎体骨折患者における予後規定因子に関する報告はなかったため、この点を調査した。腰背部痛を主訴として公立玉名中央病院整形外科を受診し、MRI検査にて新規椎体骨折と診断された患者759名(平均78.8歳)を中央値3.8年間経過観察した。平均生存率は78.8%であった。血清アルブミン濃度、腎機能(eGFR)は有意に死亡率に寄与し、COX比例ハザードモデル分析の結果、死亡率に対するハザード比はそれぞれ0.355、0.993、ROC解析によるカットオフ値はそれぞれ3.6g/dL、60mL/min/1.73m2であった。すなわち低栄養および腎機能低下が新規椎体骨折の予後規定因子であることが明らかとなった。またビタミンD不足は骨折予防に重要な要因であるが、ビタミンDは紫外線の作用下に、皮膚でも生成されるという特徴がある。そこで完全遮光を要する色素性乾皮症(XP-A)患者のビタミンD栄養状態を調査することにより、ビタミンD栄養状態に対する日照の意義を検討した。ビタミンD摂取の中央値は4.1μg/日、血清25(OH)DおよびPTH濃度の中央値は7.7ng/mL、49.9pg/mLであった。対象者の76%において、血清25(OH)Dは10ng/mLという、重症の欠乏レベルであった。すなわちXP-AにおけるビタミンD欠乏者の割合は非常に高く、このことはXP-A患者の管理上意義を持つだけではなく、今後日本人の食事摂取基準策定にも貴重なデータとなるものと考えられた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
European Journal of Clinical Nutrition
巻: 69 ページ: 693-696
10.1038/ejcn.2015.1
Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition
巻: e-pub ページ: e-pub 2015/9
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