研究課題/領域番号 |
25350159
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
庄條 愛子 相愛大学, 人間発達学部, 准教授 (40517265)
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研究分担者 |
北村 進一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60117869)
藤原 永年 帝塚山大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80326256)
水野 淨子 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (90190652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 担子菌類 / 腸管免疫 / パイエル板 |
研究実績の概要 |
担子菌Basidiomycotaの子実体であるキノコは、古くから食用として馴染み深く、アガリクス、ハナビラタケなどは健康食品としても広く販売・消費されている。その機能性について多くの研究が行われ、特にハナビラタケSparassis crispaにおいては、血糖値低下作用、抗アレルギー作用やヒトNK細胞の増加と活性化等、近年に至るまで多数の報告がなされている。 これらの多様な生理作用の多くは高濃度に含まれるβ-グルカンによると考察されているが、ハナビラタケのβ-グルカンを含まない低分子画分にも、担癌動物での癌細胞増殖抑制効果が確認されており、β-グルカン以外の微量成分が免疫応答に関与している可能性が示唆される。 本研究の研究分担者である水野淨子は菌類の糖脂質に関する研究を長年にわたって実施しており、2011年基盤(C)(課題番号23500980)では、種々の食用担子類におけるGSLの分布と構造について検討を行い、現在までにマイタケ、エノキタケのGSLの詳細な構造を明らかにしている。これらの背景から、本研究ではキノコの脂質成分の解明とin vitroおよびin vivoでの免疫調節における作用機序について検討し、キノコの脂質生化学的・脂質免疫学的側面から体調調節機能である三次機能を解明することを目的として実験を行った。 研究実施計画をもとに、平成27年度は①各種キノコ糖脂質のパイエル板培養細胞での免疫賦活作用、②子実体および総脂質のマウスへの投与試験を実施した。ハナビラタケ子実体総脂質添加培地で培養したパイエル板細胞の培養醸成中IgA濃度の上昇、ハナビラタケ子実体総脂質投与マウスのパイエル板でのIL-4、6、10遺伝子発現量の増加が観察され、キノコの免疫賦活作用は糖脂質による腸管免疫を介したものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の平成26年度における達成度を研究実施計画の項目ごとに以下にまとめる。 ①各種キノコ糖脂質のパイエル板培養細胞での免疫賦活作用 26年度に確立したラージスケールでの糖脂質調整法で各種キノコから糖脂質を抽出し、パイエル板培養細胞における免疫調節作用を評価した。培養培地に添加する糖脂質の希釈方法、添加量の調整等の培養条件を確立することで、目的の70%を達成することができた。 ②子実体および総脂質のマウスへの投与試験 本項目は、26年度に確立したラージスケールでの糖脂質調整法で各種キノコから抽出した糖脂質を用いて実施した。糞中IgA濃度、RT-PCRによる遺伝子発現解析の分析系が確立できたことから、目的の60%を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
上記にまとめた26年度の実施内容をもとに、27年度の推進方法を研究実施計画の項目ごとに以下にまとめる。 ①各種キノコ糖脂質のパイエル板培養細胞での免疫賦活作用:25年度に確立した方法を用いて、エノキダケ、マイタケ、エリンギおよびシメジの子実体からの糖脂質を抽出し、26年度にハナビラタケ糖脂質の免疫賦活作用を評価した実験系を用いて、in vitroにおける腸管免疫賦活作用の評価を実施し、目標を達成させる。 ②子実体および総脂質のマウスへの投与試験:26年度にハナビラタケ糖脂質の免疫賦活作用を評価した実験系を用いて、in vivoにおける腸管免疫賦活作用の評価およびアレルギーモデルマウス(NC/Ngマウス)を用いたキノコ脂質成分のin vivoにおける腸管免疫賦活作用およびアレルギー抑制作用について検討し、目標を達成させる。 ③キノコ糖脂質成分の構造の解析 25および26年度に確立した実験手法を用いてHPLCおよびLC-MSによるエノキダケおよびマイタケのキノコ糖脂質成分の構造の解析を実施し、目標を達成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費において動物購入数が予定数より少なく、また分析に用いた測定キットの使用量が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度の実施においては、26年度に動物実験でのin vivo評価ができなかった担子菌類 糖脂質についても評価を行う予定である。
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