研究課題/領域番号 |
25350161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
堀川 陽子 神戸学院大学, 栄養学部, 実験助手 (40309422)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フルクトース / ショ糖 / 糖原性アミノ酸 / 糖嗜好性 |
研究概要 |
フルクトースとグルコースから構成されるショ糖と、グルコース2分子から構成される麦芽糖とを糖質源とする2種類の食餌(ショ糖食、麦芽糖食)を調製し二瓶選択法で糖嗜好を調べると、ラットは実験開始時にショ糖食を好むが、時間の経過とともに麦芽糖食を選択した。また、食餌中のタンパク質濃度により糖嗜好性が変化した。20%タンパク質食摂取ラットに比べ、10%タンパク質食摂取ラットは実験開始後早い時期にショ糖食を忌避し、麦芽糖食へ好みが切り替わった。40%タンパク質食摂取ラットは、ショ糖食を嗜好し続けた。これは低タンパク状態では解糖系が亢進し、糖原性アミノ酸の合成が盛んになりグルコースの必要性が高まるためと考えられる。 この場合、「ショ糖食を好む」はフルクトースを好むとなり、「麦芽糖を好む」はグルコースを好むとなる。 グルコースから合成可能なアミノ酸の体内での増減が脳へのシグナルとなり、フルクトース嗜好性を調節している可能性が予測された。 本研究ではグリシン、セリン、アラニン、プロリン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸各々を5%相当、10%タンパク質食に添加し、糖質源はショ糖(フルクトース+グルコース)または、麦芽糖(グルコース+グルコース)とした2種類の食餌を作成し、二瓶選択法で糖嗜好性を調べた。対照は、生体内で利用されないアミノ酸であるβ-アラニンを用いた。麦芽糖食が全摂餌量の50%を超える日を嗜好が変化した日とすると、β-アラニン(対照)2.5日、グリシン2.3日、セリン1.8日、L-アラニン2.3日、プロリン1.0日、グルタミン4.6日、グルタミン酸2.6日となった。また、対照群は、麦芽糖食から再びショ糖食へ好みが戻る傾向が見られた。残るアスパラギン、アスパラギン酸添加の結果も含め総合的に考察したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析候補のアミノ酸8種類のうち、6種類については実験が完了している。残の2種類について同様に実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題を引き続き遂行し、計画にある8種類のアミノ酸について実験を完了させる。低タンパク質食に候補となるアミノ酸を添加したとき、ショ糖食から麦芽糖食へ嗜好が切り替わる時期が遅くなれば、そのアミノ酸がフルクトース嗜好を調節している可能性が高い。また、そのアミノ酸を除去した飼料を与えた場合の糖嗜好性についても検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分析候補のアミノ酸8種類(グリシン、セリン、アラニン、プロリン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸)のうち、6種類については実験が完了している。残の2種類(アスパラギン、アスパラギン酸)について現在実験進行中である。 追加実験(食餌中のタンパク質濃度を下げる)または、経口投与による検討が必要な可能性を見積もって当該年度の予算使用計画を立てていたため、次年度使用金額が生じた。 研究課題を引き続き遂行し、計画にある8種類のアミノ酸について実験を完了させる。 フルクトース嗜好を調節する作用を有すると予測したアミノ酸を除去した飼料を与えた時の糖嗜好性についても検証する。
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