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2014 年度 実施状況報告書

季節変化および食生活・生活習慣に起因するエネルギー代謝変動の定量化

研究課題

研究課題/領域番号 25350162
研究機関神戸女子大学

研究代表者

田中 紀子  神戸女子大学, 家政学部, 教授 (90122324)

研究分担者 奥田 豊子  帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90047308)
篠原 久枝  宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (40178885)
浅野 恭代  畿央大学, 健康科学部, 教授 (40098546)
平野 直美  神戸女子短期大学, 食物栄養学科, 教授 (90218800)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードエネルギー代謝 / 季節変化 / 食物摂取 / 体組成 / 体脂肪 / 暑熱環境 / 食生活 / 運動量
研究実績の概要

エネルギー代謝(消費)や食物摂取の季節変化および食生活・生活習慣,心身の状態との関連により生じる変動を定量化するために調査を実施した。女子大学生28人(20-23歳)を対象として,2014年12月~2015年11月[平均気温(℃):冬(6.2),春(14.6),夏(27.3),秋(19.9)]に調査・測定を行った。ホルモンの影響を避けるため基礎体温の低温期に調査を行った。体重,体組成はInBody720を用いて,運動量はライフコーダ(GS),安静時代謝量(RMR)はメタボリックアナライザー(MedGem+)を用いて測定した。食事調査は3日間の秤量記録法で行い,エクセル栄養君Ver.6.0を用いてエネルギー(E)・栄養素摂取量を計算した。統計処理にはSPSS Ver.21を用い,有意水準は5%未満とした。調査の結果,食物摂取量は冬に最も多く,E・栄養素の摂取量は多かった。夏になるとE摂取は減少し,冬に比べて有意に26%減少した。一方,RMRは冬に最も高いが,その後減少し,夏になると有意に20%減少した。したがって,食物摂取とRMRは気温が上昇すると減少し,低下すると増加する季節変化があることが示唆された。歩数と運動量は冬と夏は低いが,春になると有意に増加して身体活動は活発となり,下肢筋量は有意に増加した。体重は夏に1%の減少傾向があった。体脂肪量は冬に最も多く,夏には有意に4 %減少したが,除脂肪量の減少は小さかった。体組成から夏の体重減少は主に体脂肪量の減少によるものであり,部位では上腕と体幹部の減少が大きかった。これらの結果から,日本においても,食物摂取やエネルギー代謝,体組成の季節変化が示唆され,これらの変化は外環境への生理的適応であると考えられた。本研究の結果は栄養指導の現場において季節変化を考慮した栄養教育・指導方法を構築するための基礎資料として意義あるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,若年女性について,四季を通してエネルギー代謝,運動量,体組成等の測定を行い,食物摂取調査,質問紙調査を行う研究であり,正確な測定値を得るための被験者を集める必要があった。本研究に参加していただいた多くの被験者が研究の趣旨を理解し測定に協力していただいたお蔭で近畿地区では調査の方はほぼ完了しており,達成度は80 %であるといえよう。測定・調査に際してはホルモンの影響を避けるために基礎体温の低温期の期間内に測定を行うこととしたが,実際に性周期に合わせて被験者が実験室に来室して測定することができた。また,エネルギー代謝測定時には,代謝に影響を及ぼさないように食事時間や飲料水の制限等の詳細な取り決めがあり,そうした煩雑な条件下で測定に応じてもらい,また,春夏秋冬の各期に亘って実施できたことで長期に亘る貴重なデータをとることができた。調査およびデータ入力,そして今回の調査結果の分析は,大体ではあるが終了することができた。

今後の研究の推進方策

今後の予定として,調査測定の追加および解析がある。
1.調査測定の追加として,エネルギー代謝測定を行う被験者を追加する。同時に,別のグループとして,一般人よりもエネルギー代謝や食物摂取の変化がより強く出現すると思われる運動者の調査測定を実施する。さらに,年間を通して気温変化の差が小さい九州南部の地区の調査を行いたい。
2.春夏秋冬の調査測定を通してエネルギー代謝,食物摂取,体組成の季節変化を捉えることができたが,今後はこれらのデータと食生活・生活習慣との関連についての解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

エネルギー代謝測定実験において,時間の都合で被験者全員の測定ができず,予定人数を完了することができなかったため。また,他の地区の調査についても被験者数が予定人数に達しなかったことによる。

次年度使用額の使用計画

エネルギー代謝測定では被験者を追加して測定する。また,一般人よりも季節変化が明確に現れる運動選手の季節変化についての調査,および九州南部地域の被験者についてのエネルギー代謝測定,食物摂取,運動量の季節変化,および体組成変化を春夏秋冬の四季ににわたり実施する。測定,調査に係る消耗品費,謝金等が発生する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 高校野球選手の栄養学的介入による夏季の体格・栄養状態の改善2015

    • 著者名/発表者名
      海崎彩,田中紀子
    • 雑誌名

      日本スポーツ栄養研究誌

      巻: 8 ページ: 19-29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 主食・主菜・副菜を組み合わせて食べる食育プログラムの効果2015

    • 著者名/発表者名
      村井陽子、安藤弘行、山崎範子、奥田豊子
    • 雑誌名

      日本食育学会誌,

      巻: 9 ページ: 105-112.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 知的障がいのある幼児の食生活と肥満―質問紙調査による一般児との比較―2014

    • 著者名/発表者名
      作田はるみ、尾ノ井美由紀、米倉裕希子、奥田豊子、下村尚美、内田勇人、北元憲利
    • 雑誌名

      小児保健研究

      巻: 73 ページ: 300-307

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 豆調理頻度向上を目的とした印刷媒体による教育効果: -小学生の保護者を対象として2014

    • 著者名/発表者名
      村井陽子, 奥田豊子
    • 雑誌名

      日本食育学会誌

      巻: 8 ページ: 111-120.

    • 査読あり
  • [学会発表] Seasonal variation in food intake, physical activity and change in body composition in female college students2015

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, N., Okuda, T., Hirano, N., Shinohara, H., Asano,Y., Umemoto, M., Kang, J., Higashine, Y., Hamaguchi, I., and Shimonaka, R.
    • 学会等名
      12th Asian Congress of Nutrition
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama(横浜市)
    • 年月日
      2015-05-14 – 2015-05-18
  • [学会発表] Seasonal variation of body composition associated with food intake, physical activity, and resting energy metabolism.2015

    • 著者名/発表者名
      Shinohara, R., Tanaka, N., Okuda, T., Hirano, N., Shinohara, H., Asano,Y., Umemoto, M., Kang, J., Higashine, Y., and Hamaguchi, I
    • 学会等名
      12th Asian Congress of Nutrition
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama(横浜市)
    • 年月日
      2015-05-14 – 2015-05-18
  • [学会発表] The effect of daily oral function training in the elderly who participate in long-term strength training program for preventive care.2015

    • 著者名/発表者名
      Hirano, N., Yamashita, H., Tanaka, N., Kaizaki, A., Shimonaka, R., and Nakamura, M
    • 学会等名
      12th Asian Congress of Nutrition
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama(横浜市)
    • 年月日
      2015-05-14 – 2015-05-18
  • [学会発表] 高齢者の口腔体操プログラムによる口腔機能向上について2014

    • 著者名/発表者名
      山下浩美,田中紀子,平野直美,海崎彩,下中里恵,中村満
    • 学会等名
      第13回日本栄養改善学会近畿支部学術総会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都市)
    • 年月日
      2014-12-07
  • [学会発表] 体組成の季節変化と食物摂取・エネルギー代謝の関連2014

    • 著者名/発表者名
      田中紀子,下中里恵,奥田豊子,篠原久枝,浅野恭代,梅本真美,平野直美,康薔薇,東根裕子,濱口郁枝
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会第53回近畿支部大会
    • 発表場所
      京都府立大学(京都市)
    • 年月日
      2014-10-25
  • [学会発表] 兵庫県の若者における行事食と儀礼食についての認知・経験の傾向2014

    • 著者名/発表者名
      坂本薫,片寄眞木子,田中紀子,富永しのぶ,原知子,本多佐知子,升井洋至
    • 学会等名
      日本調理科学会平成26年度大会
    • 発表場所
      県立広島大学(広島市)
    • 年月日
      2014-08-29 – 2014-08-30
  • [学会発表] 大学女子ラクロス選手の食物摂取・体組成の現状と栄養指導の効果について2014

    • 著者名/発表者名
      中橋絢音,田中紀子,平野直美,吉野昌恵
    • 学会等名
      第61回日本栄養改善学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2014-08-20 – 2014-08-22
  • [学会発表] 高学年児童の咀嚼行動,学習態度意欲の向上に調理への関心の重要性2014

    • 著者名/発表者名
      奥田豊子,篠原久枝,浅野恭代,田中紀子,濱口郁枝,東根裕子,康薔薇,梅本真美
    • 学会等名
      第61回日本栄養改善学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2014-08-20 – 2014-08-22
  • [図書] 『新版 トータルクッキング 健康のための調理実習 』2015

    • 著者名/発表者名
      大喜多祥子,濵口郁枝
    • 総ページ数
      249
    • 出版者
      講談社

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公開日: 2016-05-27  

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