研究課題
本研究計画では、小腸吸収上皮細胞の形態学的特徴を部位的・時期的に詳細に解析すると共に、マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を行い、部位的・時期的構造及び機能の特徴に関連する遺伝子を明らかにすることで、吸収上皮細胞という名前で一括りにされている細胞集団の多様性と動態を解明し、食物アレルギー発症機序の解明および予防に役立てることを目的としている。今年度は、部位別、時期別に採取した絨毛上皮についてマイクロアレイ解析を行った。その結果、時期および部位によって、絨毛上皮に発現している遺伝子に差異が認められた。また、Satoらの方法(Methods Mol. Biol. 945: 319-28, 2013)を参考にし、昨年度確立できたオルガノイド作製法を用いて、乳飲期マウスの小腸を空腸と回腸に分け、それぞれから陰窩を単離してオルガノイドを作製した。乳飲期の空腸および回腸から作製したオルガノイドの吸収上皮細胞は、相当する時期及び部位のマウス吸収上皮細胞とほぼ同様の形態を示した。単離や培養については同一条件で行ったにもかかわらず、成熟期マウス小腸由来のオルガノイド吸収上皮細胞とは異なる形態を示したことから、幹細胞自身が時期および部位の情報を有する可能性が考えられた。
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