研究課題/領域番号 |
25350177
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
山田 晃一 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 上級研究員 (00182527)
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研究分担者 |
森田 明美 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (40262638)
饗場 直美 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (50199220)
宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 部長 (60229870)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食行動 / 食欲 / 遺伝子多型 / 食嗜好 / 脳機能 |
研究実績の概要 |
食欲を亢進するペプチドホルモンのグレリンは、主に胃で産生されるが、視床下部や辺縁系に作用して、食行動、食嗜好を規定することが動物実験の結果から示唆されている。私達もグレリン遺伝子多型が少数型の肥満女性に於いて、食事摂取量、エネルギー摂取量、脂質、肉類の摂取量などが少ないことから、彼女らが意外にも「小食」で食欲そのものも乏しく、蛋白質や脂質をあまり好まないことを明らかにした。私達は、なぜグレリンの遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性は「小食」なのに肥満しやすいのかを解明したい。 今年度は、同じく佐久肥満克服コホートに於いて、グレリンをアシル化するグレリン-O-アシル転移酵素(GOAT)や、グレリン受容体(GHSR)の遺伝子多型を解析し、グレリンと同様の表現型になるか検討した。その結果 1. GOAT、GHSRのいずれも、特に肥満傾向や、その他生活習慣病(糖尿病、高脂血症、高血圧)罹患傾向は認められない 2. GOATについては、弱い血中低コレステロール、腹腔内脂肪蓄積傾向は認められるが、GHSRについては、血中低コレステロール、腹腔内脂肪蓄積傾向は検出できなかった 3. GHSRについては、DHQの算出値に基づいて、少数型ホモの肥満女性は食事の摂取重量も多い傾向にあるが、それ以上に塩分と調味料の摂取量が有意に多い。坂田式食行動アンケートでは、「食欲」「代理摂食」等は特に有意所見ではない。 グレリンの下流の摂食亢進遺伝子、ニューロペプチドYや、アグーチ関連蛋白(AgRP)についても同様の多型解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はグレリン系、或いはグレリンの下流に位置する遺伝子群について、グレリンと同様の表現型になるか検討した。グレリン-O-アシル転移酵素や、グレリン受容体の遺伝子多型について、グレリンの表現型とは違う(すなわち、摂食亢進ではない)が、興味深い有意所見が得られた。 また、学生ボランティアを対象者として、f-NIRSによる脳解析の予備実験を進めており、測定プローブを配置する前頭部分も明らかになり、(学生の)肥満者に特有の反応も分かり、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、被験者さん達を佐久から当研究所においでいただき、f-NIRSを用いて「食欲」を測定する予定である。グレリン遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性に於いて、「食欲」が乏しいかどうか測定し、採血した血液からグレリン蛋白を定量する他、グレリン受容体遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性の「食欲」はどの程度か、も測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
f-NIRSによる食欲測定(脳機能解析)が最終年度実施となったため、被験者を本研究所までご案内し、測定を行うスタッフの人件費を最終年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、研究補助員を2名雇い(1名はほぼフルタイムで、被験者に応対する)、その人件費に充当する。
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