研究課題
食欲を亢進するペプチドホルモンのグレリンは、主に胃で産生されるが、視床下部や辺縁系に作用して、食行動、食嗜好を規定する事が動物実験の結果から示唆されている。私達もグレリン遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性(約10%存在)に於いて、食事摂取量、エネルギー摂取量(肥満女性平均の約82%の値で、これは正常体重の女性並み)、脂質、肉類の摂取量などが少ない事から、彼女らが意外にも「小食」で食欲そのものも乏しく、蛋白質や脂質をあまり好まない事を明らかにした。私達は彼女らは、空腹時のグレリン量がやや少ないと予想しているが、実際に少ないのか、また、食べ物の絵や匂いに対する反応性が実際に低いのか等を本研究で解析し、なぜグレリンの遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性らは 「小食」なのに肥満しやすいのかを解明したい。①少数型ホモの肥満女性の、食べ物の絵や匂いに対する反応性(食欲)の測定 fNIRS(光トポグラフィ)を用いて、佐久肥満克服プログラムの肥満女性(10名)について食欲求に伴う脳賦活実験の測定を行った。食品の画像を見せることにより、食欲求度が高いと前頭葉が賦活され、背外側前頭前野及び前頭極において、先行研究の若年者データと比較して高い、血流の亢進が見られた。現在更に解析中であり、さらに測定を行なって、グレリン遺伝子多型に特徴的な所見を得たいと考える。②摂食関連遺伝子のレプチン、PYY、GOATの多型を解析したが、グレリンと類似の表現型ではなかった。PYY遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性はエネルギー、蛋白質、脂質の摂取量が多い傾向にあり、また肉類のそれは有意に多かった。また彼女らは糖尿病所見(HbA1c値、OGTT値等)と顕著な相関あり。
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Nucleic Acids Res.
巻: 43 ページ: 1671-83
10.1093/nar/gkv023