研究課題
睡眠障害は、視床下部における摂食行動の制御に影響し、摂食リズムの乱れを引き起こす可能性が考えられる。今年度は、摂食リズムの乱れによる代謝異常のメカニズムを解明する目的で、摂食時間帯を1週間だけ昼夜逆転させたマウスにおいて、行動や内分泌、代謝、体内時計に与える影響を詳細に調べた。夜行性であるマウスに対して、非活動時間帯である明期のみに給餌(明期制限給餌)を行うと、暗期のみに給餌を行った群に対して、摂餌量の増加と活動量の低下による脂肪蓄積を伴った体重の増加が認められた。明期制限給餌では、高インスリン血症や高レプチン血症、高コレステロール血症、肝臓脂質量の増加が認められ、肝臓や脂肪組織での脂肪酸合成遺伝子の発現量が増加していた。高レプチン血症とともに視床下部でのNPYなどの摂食促進ペプチドの発現が亢進していたことから、レプチン抵抗性が惹起されていることが示された。末梢時計に対する影響では、肝臓の時計遺伝子発現のリズムが摂餌リズムに同調する一方で、骨格筋での時計遺伝子発現のリズムは摂餌リズムに同調しておらず、個体内脱同調が認められた。以上の結果より、摂食リズムの乱れは、短期間で肥満を促進する可能性が示された。睡眠に与える人工甘味料の影響を調べる目的で、マウスに対して2週間、サッカリン水(0.1%w/v)を自由摂取させた。その結果、活動開始時間帯(暗期前半)の活動量の低下と覚醒時間の減少、ノンレム睡眠の増加が認められ、逆に睡眠開始時間帯(明期前半)において覚醒時間の増加とノンレム睡眠の減少が認められた。以上の結果より、サッカリンが睡眠リズムに影響する可能性が示された。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
Metabolism
巻: 65 ページ: 714-727
10.1016/j.metabol.2016.02.003
Nutrition
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.nut.2016.03.013
https://unit.aist.go.jp/bmd/biomed-bcl/