研究課題/領域番号 |
25350181
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
梶村 計志 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, その他 (40250336)
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研究分担者 |
萩原 拓幸 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (00300997)
粟津 薫 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (30435888)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食品 / 生原アミン / 不揮発性腐敗アミン / 高速液体クロマトグラフィー / フルオレスカミン |
研究実績の概要 |
次年度に予定されている、食品の腐敗に伴う生原アミン類(ヒスタミン、チラミン、カダベリン、プトレスシン、スペルミジンおよびフェネチルアミン)の生成状況を調査するために必要な分析法について検討した。その結果、固相カートリッジ抽出カラムによる精製とフルオレスカミンによる誘導体化を組み合わせた蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフによる分析法を開発した。本法は、試験溶液中のアミン濃度0.5ug/mL~20ug/mLの範囲で良好な直線性を示した。定量限界(S/N≧10)は0.5ug/mL(試料中濃度5ug/g)であった。また、厚生労働省が定めた「食品中の金属に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」に基づく評価試験(分析者1名、2併行、5日間)を行ったところ、真度(85~91%)はガイドラインの基準をやや下回ったが、併行精度(0.9~1.9%)および室内精度(2.5~4.6%)は基準を満たした。 1:固相抽出カラムによる精製条件 市販されている6種類の固相抽出カラムを用い、生原アミン類の精製条件について検討を行った。その結果、逆相と弱陽イオン交換の両モードが機能するミックスモードカラム(Waters社製、Oasis WCX,500mg)が最も精製に適していることが確認された。溶出液の組成は、4%ギ酸を含有する50%メタノール溶液が優れていた。本法に従い、精製を行ったところ、大部分の妨害ピークが除去され、良好なクロマトグラムが得られた。 2:添加回収試験 試料として市場品のマイワシの干物又はキハダマグロを用い、添加回収試験を行った。6種類の生原アミン類を10ug/g又は50ug/g あるいは100ug/gの濃度で添加した(n=5)。各生原アミンの回収率は85~100%の範囲であり、良好であった。また、相対標準偏差はスペルミジンを対象とする一部の検討で若干のバラツキが認められたが、概ね良好な結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に従い、生原アミン類の分析法の開発に取り組んだ。そして、ヒスタミン、チラミン、カダベリン、プトレスシン、スペルミジンおよびフェネチルアミンを対象とする蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフによる一斉分析法を開発した。研究は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で研究計画の大幅な変更は考えていない。最終年度は、研究実施計画に従い、食品を種々の条件下で保存し、腐敗課程における生原アミン類(ヒスタミン、チラミン、カダベリン、プトレスシン、スペルミジンおよびフェネチルアミン)の生成状況を調査する。また同時に、遊離アミノ酸含量やK値を測定し、生原アミン含量との相関性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、当初予定されていた予算額を年度内に概ね執行したが、前年度分の未使用額が存在し、結果として次年度使用額が生じた。来年度は、平成27年度分の助成金と併せ、当初の計画通り予算執行を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
申請書に定められた平成27年度の研究実施計画に従い、食品サンプル、ディスポーザブル固相精製カラム、高速液体クロマトグラフィー関連製品等を購入する。また、申請書で定めた計画に従い、旅費の執行を行う。
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