研究課題/領域番号 |
25350186
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
千葉 芳明 宮城教育大学, 教育臨床研究センター, 研究員 (40113881)
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研究分担者 |
本田 亮 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50199577)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 物理教育 / 応用物理教育 / 授業プログラム / 光学教材 / 屈折の法則 / 反射の法則 / 虚像 |
研究実績の概要 |
手鏡の枚数を段階的に増やすことによって、現象を幾何学的に表現し、反射における光の行路、反射と虚像との関係の理解へと導く授業プログラムを創案した。本プログラムは、手、足と目を用いて観察し理解を深めることができるので、学生や生徒に興味や関心を喚起する。主な内容を記す。 [1枚の鏡で反射の法則と虚像の関係を学習]鏡への3本の入射光として楊枝を用いる。反射光の楊枝の位置決めは、フェルマーの原理をもとにして、これらの楊枝の虚像の鏡手前への延長上に3本の楊枝を置く。反射光の虚像も鏡で見られる。鏡を取り除き、3本の反射光の線分を鏡の後方へ伸ばすとこれらは1点で交わる。これが光源の虚像の位置であり、延長された線は、鏡がある時の入射光の虚像と重なる。このように、1枚の鏡を用いた演示は、入射光の虚像と反射光が一直線上であること、同様に反射光の虚像と入射光も一直線で結ばれることを直感的に理解できる。 [2枚の鏡で対称的に現れる虚像の学習]2枚の鏡がその鏡面を垂直に接するように配置する。光の行路は楊枝で表す。まず、右の鏡への入射光の行路に楊枝を置き、その入射光の虚像の延長になるように、次の楊枝を置く。この2番目の楊枝と左の鏡を用いた同じ作業が行われる。その結果、鏡の手前にある光の行路が3本の楊枝で表示される。鏡を覗くと、2回の反射による光源の虚像が見られる。フェルマーの原理が成り立っていることが実感できる。 [3枚の鏡で万華鏡の虚像と反射の関係を理解]3枚の鏡を正三角形に合わせ、その中心にはじきを置く。対称的なはじきの虚像が格子状に現れる。この現象は万華鏡で現れるものと同じである。光源からその各虚像へ辿り着く行路はいくつもあるが、どの過程においても鏡を通り抜けるたびに新たな正三角形が表れる。この三角形の数または通り抜ける鏡の枚数の最小値は、その光源の虚像が表れるためになされた反射の数と一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実像の観察の観察から始める授業プログラムの研究成果と平成26年度の水箱を用いた屈折の法則の授業プログラムの研究成果を踏まえ、平成27年度は反射の法則と虚像の関係を理解する授業プログラムの研究を発展させた。易から難へ、体験を通して系統的に学習する本授業プログラムは、さまざまなところで応用されている光の基本的性質を実感として理解するうえで有効である。そのことは応用物理学会第26回物理教育に関するシンポジウムおよび第63回応用物理学会春季学術講演会(東京工業大学)で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
[ものの光学的性質とその応用についての授業プログラムの研究]これまでの成果を踏まえて、光の進み方と色の学習プログラムを中心に研究する。具体的には実像と虚像の相違点を理解する授業プログラムを研究する。また、自然界に現れる色の性質とついての教材や学習プログラムを検討し開発する。 [ものの電気、磁気的性質とその応用に関連する授業プログラムの研究]これまで研究してきたものの誘電率や透磁率を学習する教材を研究する。また、太陽電池など身近な応用製品を活用した光と電気の相互作用に関するする学習プログラムの研究をさらに発展させる。 [ものの光学的・電気的・磁気的性質と温度の関係についての授業プログラム]については簡易な実験教材の検討から始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の学会発表に出席する予定の協力研究者が参加できなかったこと。学習プログラムの実践の検討に関わる旅費と物品費を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の検討と発表に関する旅費。これまで研究のまとめのための実践研究に関わる物品費に使用する。
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