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2013 年度 実施状況報告書

中等学校における理科/科学教育カリキュラムと授業分析に関する実証的国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 25350189
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京学芸大学

研究代表者

三石 初雄  東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 教授 (10157547)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード授業研究 / 中学校 / 理科授業研究 / 物理・化学領域 / 日韓比較研究 / 協動的学習
研究概要

本研究は、初等教育を視野に入れた中等教育段階の理科/科学の授業研究に関する実証的国際比較研究を通して、理科/科学教育カリキュラムの開発・編成・評価並びに授業研究の在り方を探り、広義の意味での「個に応じた理科授業」改善の方途を見いだすことを目的としている。その際、「個の学習」がどのような“共同的学習”環境の中で科学的な認識へと深化発展するかという学習過程研究と学習環境に関しての実証的国際比較研究として行う。
本年度は、比較研究対象国の韓国での訪問調査と文献調査での日韓カリキュラム改革の動向を精査した。具体的には、以下の通りである。
1)これまでの日韓カリキュラム開発・評価に関する基礎研究を整理し、比較分析する学習内容や授業場面、分析方法等々に関しての日韓での共通認識をつくるための意見交換を行った。
2)韓国でのカリキュラム改訂の中心的部分を把握するために、中学校の物理・化学領域に関しての「教育課程」の分析を行い、日韓の比較研究の基本的な資料を作成した。
3)その際、韓国の公立中学校での授業参観と当該学校でのカリキュラムと授業内容・形態に関しての考え方と実際的配慮事項等に関しての聞き取り調査を行った。そこでは、教師の希望に基づく異動制度が発足しており、その条件下で学校内でのカリキュラム改革を推進する共通的なスタンスの重要性が明らかになった。
4)日本における協動的学習を進めている三宅なほみ氏が提案、実践研究しているジグゾー学習「協調学習」法の授業参観と、研究協議を行った。そこでは、教育内容の抽出と、題材・教材・考察視点の抽出・選定家庭の重要性と教師の力量の重要性が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度の研究目的は、協動的学習の比較研究の視点を明らかにすることが、大きなねらいとなっていた。その点では、韓国研究者の協力を得て、韓国の学校カリキュラムの改革動向を具体的に調査研究、文献研究をすることができたことにより、予定されていた以上の成果があったといえる。
しかし、韓国のカリキュラムの実施状況は、地域・学校の独自裁量権の拡大に伴い、学校により異なっている部分が予想したよりも大きいことが判明した。そこで、まずは、その現状と背景、教師と学校の教育理念と教育計画の内容を把握することに比重を置くことになったことが、大きな要因である。また、韓国での教材開発が日本の理科教育実践者の開発した教材との共通性があることも明らかになり、そのルート(研究交流・情報交換ルート)の解明という新しい課題も出てきたことによる。このことは、訪問調査することによる成果ではあるが、その分、予定されていた分析のための共通認識づくりが十分進展していないと言うことである。

今後の研究の推進方策

今後は、予定していた授業研究・授業分析の視点に関しての共通認識のための情報交換と授業共同分析(相互訪問)活動を行うとともに、以下の点に関しての研究作業を進める。
1)カリキュラム開発・評価に関する枠組みの定立と学校・授業に関する実態調査
この小課題については、授業研究のプラン段階と授業実施段階での整合性並びに実施上の課題の検討に際して、①日韓の国・地域レベルのカリキュラムや教科書等の比較研究の精査、②研究授業の指導単元に関する日韓の典型的授業実践プランの比較検討を学校訪問、聞き取り調査、公開研究会等の機会を介して実施する。③理科/科学の授業に即したカリキュラム編成原理と指導内容・方法・形態とその授業効果に関する実証的比較研究を本格的に行うとともに、教師の指導力量とその力量形成の核心部分に関わる聞き取り調査(理科/科学教師の専門的知識)を加味する。具体的には、ICレコーダーとビデオカメラ授業記録データの比較検討を行い、①日韓理科授業の学習内容と指導方法に関する共通点と差異点、②小課題1で実施した生徒・教師等を対象とした聞き取り調査結果との整合性を総合・整理する。
(2)共同的学びを促す理科/科学授業実践とカリキュラム開発・評価に関する実証的比較研究小課題2では、上記の授業比較研究と調査訪問の結果を基に、①授業における共同的学びの実施状況を把握し②共同的学びを実施するための教師の専門的知識・スキル等の力量に関する教師の意識を把握するための調査を行う。そこでは、③生徒の“共同的学び”のための学習材作成の原理や学習環境の整備に関する配慮事項、④学習集団等の“共同的学び”による学習効果の検証方法に関しての自覚についての調査を行う。

次年度の研究費の使用計画

主な理由は、聞き取り調査での謝金支払いと資料整理アルバイト、翻訳謝金を支出しなかったことによる。聞き取り調査は、学校での勤務中での研究協議を兼ねての時間だったので支払いできなかったこと、翻訳謝金は共同研究者の献身的な作業により、その支出がなかった。
2年目は、上記の事情を考慮し、謝金予算を若干削減する。しかし、共同研究者にこれ以上の負担はかけられないので、申請予定通りの執行計画で実施し、かつ、資料整理アルバイトは実施予定であるので、その謝金は執行予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 「高リスク社会に向き合う教育的営みの創造 ―リスク社会を視野に入れた教員養成プログラム開発の基礎研究― 」2014

    • 著者名/発表者名
      坂井俊樹・三石初雄
    • 雑誌名

      日本教育大学協会研究年報

      巻: 32 ページ: 209-222

  • [雑誌論文] 「「高リスク」社会の中で価値選択的課題にどのように向きあうか」2013

    • 著者名/発表者名
      三石初雄
    • 雑誌名

      日本社会科教育研究

      巻: 119 ページ: 13-23

  • [学会発表] “A Study on Interactive Lessons Utilizing Reflection Sheets -Analysis of Science Lesson by Rubric method at Junior High School―(2)“

    • 著者名/発表者名
      三石初雄
    • 学会等名
      Seoul National University –Hokkaido University Joint Symposium
    • 発表場所
      Seoul National University
  • [学会発表] 基調講演「教師の専門職性と授業研究 ー日本の学校と授業研究ー」

    • 著者名/発表者名
      三石初雄
    • 学会等名
      第8回東アジア教員養成国際シンポジウム(於東北師範大学)
    • 発表場所
      中国・東北師範大学

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公開日: 2015-05-28  

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