本研究では、次の2つの課題に取り組み、最終年度としてのまとめを行った。 (1)カリキュラム開発・評価に関する枠組みの定立と学校・授業に関する実態調査については、授業研究のプラン段階と授業実施段階での整合性並びに実施上の課題の検討に際して、①日韓の国・地域レベルのカリキュラムや教科書等の比較研究、②日韓科学・総合的学習に関しての比較検討、③研究授業の指導単元に関する日韓の典型的授業実践プランの比較検討を学校訪問、聞き取り調査等の機会を介して実施した。また、最終年度にあっては、理科/科学を中心とした授業と教師の位置と役割、カリキュラムと学習内容・教育方法、そして評価基準とその評価方法に関して比較分析を行った。 (2)共同的学びを促す理科/科学授業実践とカリキュラム開発・評価に関する実証的比較研究については、初年度の結果(予備的授業比較研究)を基にして、理科/科学の授業に即したカリキュラム編成原理と指導内容・方法・形態とその授業効果に関する実証的比較研究を行うとともに、教師の指導力量とその力量形成の核心部分に関わる聞き取り調査を加味して考察した。 具体的には、①ICレコーダーとビデオカメラ授業記録データに基づく比較検討を行い、日韓理科/科学授業の学習内容と指導方法に関する共通点と差異点の考察、②授業分析の指標と方法の妥当性の考察、③生徒の“共同的学び”のための学習材・学習環境の整理と検討、④理科/科学担当教師としての「力量」の在り方とその力量形成の過程と契機に関する検討・考察を行い、“共同的学び”を支える授業研究のための教師教育プログラム開発の視点を検討した。 最終年には、日韓の授業の比較検討を行い、「韓国と日本の学級間国際実践交流活動の試み」としてまとめた。
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