研究課題/領域番号 |
25350192
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大山 利夫 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (20194318)
|
研究分担者 |
淺原 雅浩 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70304201)
松友 一雄 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (90324136)
大和 真希子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (60555879)
三好 雅也 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (50557353)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 理科学習 / 科学的語彙 / 言語活動 / カードゲーム |
研究実績の概要 |
平成25年度の研究では、映像問題を用いた中学生の科学的語彙獲得状況調査を実施した。その結果、既習の科学的語彙(例:気圧、大気圧)でも、それを活用して現象を説明することができない、そして他の言葉を用いてもうまく説明できないという生徒が多く存在した。通常の授業による学習では、科学的語彙の獲得と定着が難しいと考えられた。これを踏まえ、平成26年度は、中学生が意欲的に取り組むことができる科学的語彙学習方法開発のための一つの取り組みとして、カードゲームの作成と試験的実践を行った。我々は、すでに小学生を対象にした「自然とことばのカルタ」の開発と実践を行っており、一定の学習効果を確認している。今回試作したものは、中学1年で学習する火成岩のカードゲームで、岩石の全体写真、岩石表面の実体顕微鏡写真、薄片の偏光顕微鏡写真を組み合わせたカードを作成し、それぞれのカードに鉱物の組成やマグマとの関係に関する情報、語彙を盛り込んだ。カードゲームを用いた試行的な実践は、福井市内の中学校の1年生2クラスで実施した。実施時期は当該単元の学習を終えた時期を設定した。2クラスのうち1クラスでは、我々が事前に用意したルールに則って生徒にゲームを行わせた。もう一方のクラスでは、生徒たちにルールを考えさせ、生徒たちが発案したいくつかのルールの中から最も面白そうなものを選んでゲームを行うという方法をとった。その結果、後者のケースでは、ルールを思考する段階で生徒たちが火成岩に関する語彙を用いて活発に議論する言語活動が観られ、ゲームにも熱心に取り組むようすが観られた。生徒の事後アンケートからも、後者のやり方の方が学習効果は高いと考えられる。これは能動的学習の一つ手法となる可能性があり、今後、新規カードゲームの開発と実践事例の蓄積および分析を進めて行く予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、中学校理科教育における言語活動の充実のために、中学生の語彙獲得状況と活用状況の調査を踏まえ、効果的に語彙を獲得させるための学習方法を開発することを目的としている。平成26年度は、当初の計画通りカードゲームの制作に着手し、プロトタイプを用いて中学1年生を対象にして試験的実践を行うことができた。この実践において、科学的語彙の獲得と言語活動を促進する可能性のあるカードゲーム使用法を見出すことができ、一定の成果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に試作したカードゲームをベースにして、他の領域のカードゲームを作成する予定である。これらのゲームの使用法について試験的実践を重ね、科学的語彙の獲得と言語活動を促進に効果的な使用法について検証的研究を進める。得られた知見をもとに、中学校教員を対象としたカードゲーム利用プログラムを考案し、公開講座や教員研修の場を利用した実践を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度も継続する理科教育用カードゲームの開発費用と実践、分析にかかわる消耗品等の経費を確保するため執行額を差し控えました。
|
次年度使用額の使用計画 |
(1)理科教育用カードゲームの開発費用と実践、分析にかかわる消耗品等費、謝金等に使用予定。(2)調査研究旅費および成果発表のための旅費に使用予定。
|