平成27年度には宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所に赴き、太陽観測衛星で観測された観測画像の中から教育に適した画像を選択し、黒点の消滅やプロミネンス放出を伴うフレア等に関する教育用デジタル動画を作成した。作成したデジタル動画の検証を小・中学校での講演や科学技術館での講演、また、将来教員を志望している埼玉大学教育学部生に向けた実践を通して行った。
本研究期間内に公共天文台を訪問し、天体観察に関する情報収集および子どもに対する取り組み方を調べた。また、滋賀県内小学校において天体望遠鏡を用いた天体観察会を開催し、児童の興味・関心や観察面等における困難さ、および同伴している保護者側のニーズなどを調べた。それにより、天体観察では光害をもたらす携帯電話が、治安などの社会的な背景により天体観察中も手放しにくい事情が保護者側にあることが分かった。その結果、望遠鏡を通して見た天体像を携帯電話で手軽に撮影する方法を考案した。さらに、撮影会では子どもたちが観察天体を撮影できる望遠鏡のエリアと、少ない光害で観察できる望遠鏡のエリアに分けることで、興味関心を持てるようにした。また、このエリア分けにより、保護者のニーズにも応えられるようになった。
太陽観測衛星の観測画像を用いて、黒点の形成・消滅、プロミネンス放出を伴うフレアなどの教育デジタルデータを作成した。また、作成したデジタルデータは、滋賀県内中学校6校、京都府内小学校1校・高校1校、島根県内小学校1校、公共科学館1、大学教育学部2校において検証を行い、児童、生徒の興味関心が高まることが分かった。2015年9月にノルウェーで行われたKIFEE国際フォーラムで本研究の成果発表を行い、ポスター賞を受賞した。
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