研究実績の概要 |
1.教材用の簡易地震計として開発したANB地震計を実際に用いて地震観測を行った.製作には簡単に入手できる材料と,ハンダ付けが不要なボードを用いた.その製作方法,観測に用いる電子回路とソフトウエア,観測の方法や得られた波形データを日本地震学会広報紙「なゐふる」に記事として3回にわたり連載した. 2.この地震計を用いた観測は多くの地震を収録するため,地震活動の活発な北関東において共同研究者である伊東明彦氏が宇都宮大学においても実施し,波形記録集を作成した. 3.上記とは別にこの地震計の性能評価のため,やや本格的な地震計の製作を行い,それを用いた比較観測を現在も継続中である.また外国の地震を主に観測するための電子回路の改良を行いその効果を検証した.この地震計も教材用として高い性能を確認している. 4.G-R則(Gutenberg-Richter則)などの地震の生じ方を,地震のメカニズムから考える簡単なアナログモデルを製作した.これは「バネ-ブロックモデル」(Burridge-Knopoff,1969)を参考に,1次元に戻したものを試作し教材として用いると同時に学会発表を行った.またそのアナログモデルを補完する数値シミュレーションを作成し,教材として示す手法を開発・実践中である.一部は教員研修に使用して効果を検証した.なお現在もこのモデルは数値シミュレーションも含めて順次改良中である. 5.学生や一般の人々の災害に対するイメージについて,特に”偶然”生じる現象と周期的に生じる現象の違いを誤解している実態を調査し,それらを克服する教材を準備した. 6.さらにこれらの教材を本研究の目的の一つである,地震や災害という現象を理解するための教材としての評価を実際に教材を用いて授業や研修を行う中で検証しつつある.
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