研究課題/領域番号 |
25350206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
山田 伸之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80334522)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 防災保育 / 安全教育 / 科学教育 |
研究概要 |
本課題は,保育園・幼稚園などに通う小さな子どもたちなど災害弱者を主対象として,「科学教育と防災教育の充実」と「安全安心な明るい未来社会の構築」への一助となることを目指すものである。特に,地震の揺れの経験の少ない地域の子どもたちに対して,強震動(地震の強い揺れ)とそれによって引き起こされる災害に対する理解を深めてもらうための擬似体験を通じた園や親子で取り組める効果的で印象に残る教具教材と教育啓蒙手段の開発検討を行う。各種園と大学の連携による教育実践活動を行い,一連の研究活動を通じて,子どもたちだけでなく保育士・教諭および保護者たちへの科学教育と防災・安全教育の拡充と地域社会への貢献を最終目標としている。 研究課題の初年度の平成25年度は,上記のタスクをスムーズにかつ効果的に遂行できるよう,仕込み期のための準備と位置づけることとした。これまでの防災保育研究の実態・概観を調査することや,申請者がこれまで取り組んできた北部九州地域以外での防災教育に関連する子どもたちや園での教諭・保育士および保護者等市民の実態を探ることに主眼を置いた。また,こうした防災保育(教育)および防災に関する情報を園や一般市民レベルでどのように広めることができるかを模索・検討することができた。これらによって,これまでと異なる視点で本課題を捉えることもでき,計画書段階で設定した各ステージを着実に進めるための基礎土台を固めることができた年度であった。本研究課題に対して,平成25年度がいわば,足場固めの年度とすれば,平成26年度は,ステップアップの年度であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の前座的・試験的な位置づけともいえる,従前の研究課題の遂行期間延長が承認されたことから,限られた資源を有効活用するためにも,そちらを優先し,平成25年度は,本課題の進捗を限りなく,下地作りにとどめた。従って,平成25年度の進捗状況は,当初の目標に対して,達成度を「やや遅れている:区分③」と自己評価した。ただし,研究実践の概要の欄に示したように,いくつかのトピック的な成果を上げることができ,より効果的で円滑な本課題の遂行が可能になったといえる。特に,大阪・和歌山府県の園や市民の防災への実態意識・実情を知ることができたことと,さらに防災保育実践展開を図ることができるように協力園の新規開拓は,大きな達成でもあった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,本課題がメインとなり,平成25年度用に記載した計画を遂行することとする。ただし,かなりの部分の計画を濃縮することや別途拡大して遂行することが可能であるとみられる。 第1タームにおいては,これまでの問題点もしくは,見習うべき点の洗い出しを行う。同時に,災害時の学校・園,小さな子どもがいる家庭での状況・対応事例の収集も行っておく。その再精査によって浮かび上がった点をステージ1から3に反映させることを行う。ステージ1, 2(教材・教具の開発改良など)については,すでに着手もしくは見通しのついているパーツがあるため,早期の達成を目指すが,点検作業およびこれまでの実践活動を通じて必要と考えられた修正点は,確実に改善させていくものとする。 第2タームにおいては,連携園の協力のもと,ステージ3で子どもたちへの防災保育,ステージ4で保育者や保護者たちへの防災教室を行い,それぞれ子どもたちと大人たちへの教育実践を行うための事前準備と実践活動を行う。 ≪ステージ1の主な内容≫「地震の揺れ」について知ってもらいたい科学的な内容をいかに年少の子どもたちに伝えることができるか,内容の明確化や方法および教具の検討を行う。ここでは,主に,地震の揺れとは,「どんな感じなのか」,そのとき「どんなことが起こるか」,を体験的に知ることができるようにする。 ≪ステージ2の主な内容≫「強く揺れたときの対処の仕方」について,安全指導について,ステージ1と同様に内容の明確化や方法の検討を行う。ここでは,「地震で揺れている最中とその後」の行動の取り方を体験的に知ることができるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本課題の前座的・試験的な位置づけともいえる,従前の研究課題の遂行期間延長が承認されたことから,限られた資源を有効活用するためにも,そちらを優先し,平成25年度は,本課題による予算執行を最小限に抑えたため。また,低予算での研究遂行と最大限の研究成果の創出を常に考慮してきたため,今年度は,防災保育実践園への出張の経費のみの執行となった。 本課題においては,当初より低予算での研究遂行と最大限の研究成果の創出を掲げてきている。従って,平成26年度以降においても,教材・教育方法の開発製作などに創意工夫と自助努力による低コスト化を目指す。これは,将来的に,発展途上国などの地域・国などでの実践研究活動を視野に入れているためである。従って,可能な限り研究成果の国際的な情報発信を意識的に行うとともに,防災教育充実化に資するコミュニティを構築するための経費に充当させることとし,新たな連携学校・園の拡大,教材・教具の広報の仕方や各種課題への対応策の検討なども行うこととする。なお,平成26年度からは,防災保育実践研究を専属で展開する新たな研究分担者(予算の10%の分担金の配分)を設定し,本課題遂行の拡充化を図ることとする。
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