本課題は,保育園・幼稚園などに通う小さな子どもたちなど災害弱者を主対象として,「科学教育と防災教育の充実」と「安全安心な明るい未来社会の構築」への一助となることを目指すものである。特に,地震の揺れの経験の少ない地域の子どもたちに対して,強震動(地震の強い揺れ)とそれによって引き起こされる災害に対する理解を深めてもらうために各種園と大学の連携による教育実践活動を行い,一連の研究活動を通じて,子どもたちだけでなく保育士・教諭および保護者たちへの科学教育と防災・安全教育の拡充と地域社会への貢献を最終目標としている。 1年延長した研究期間最終年度の平成28年度は,これまでの防災教育・保育の中に各種の体験(体感)を重視した一連の実践活動の総括を行うとともに,連携協力園などとの意見交換などを中心に行うことができた。これまでの実践を通じた園の保育者や保護者などからのアンケートやヒヤリングなどから,保育園と認定子ども園と幼稚園および公立と私立といったそれぞれの園形態によって,また,関西を中心にした大阪都市圏と和歌山県の地方都市といった地域の違いが,アンケート結果や園での実践状況・意識に明瞭に表れていた。こうした結果は,自然災害への懸念への意識の違いが大きいものと推察される。また,園児たちにも長く活動の記憶に残る様子が見受けられ,防災保育の「プロトタイプ」ともいえる形がある程度の形できたといえる年度であり,設定した計画ステージを着実に進めることができた年度であったと考えられる。
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