研究課題/領域番号 |
25350216
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊澤 悟 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00232223)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 材料力学 / カリキュラム / シラバス / 日米比較 |
研究実績の概要 |
材料力学のカリキュラム構成について、日本の工業高等専門学校(高専)と大学およびアメリカの大学機械系学科におけるシラバス分析を行った。ここでは、単位の編成、学習項目の内容、成績評価システムに加えて、教科書と教材に関する調査を行い、日米および高専と大学の比較を行った。 本研究で調査した教育機関は、機械系学科を有する日本の52高専、42国立大学およびアメリカ30大学である。 日本の高専と大学における差異は、主として必修、選択科目を含めた取得単位数に表れ、学習項目や教科書等は共通する内容が多かった。これに対して、日米比較では成績評価と教科書との差異が大きかった。高専では、JABEEや学修単位の導入により多くの高専で成績評価に課題点を含めているがその割合はあまり大きくないため、全体としては試験重視の傾向が強い。日本の大学では、試験重視型と課題の評価ポイントの高い大学で二極化する傾向がある。アメリカの大学は、ABETの影響もあり複数回の試験に加えて、Homeworkの課題や要求される評価項目が高く、通常の講義の占める評価点が、日本の教育機関と比較して高い。また、教科書については日本の教科書と比較してアメリカの教科書の例題数が圧倒的に多く、加えて数字を使った計算問題、写真や3次元のイラストを多く使用している。 更に、日本国内で教員と学生を対象とした材料力学カリキュラムと学習内容に関するアンケート調査を行い、学習項目に関する理解と難易度を中心とした両者の意識の格差について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたシラバスの調査は、日本とアメリカにおいてほぼ予定通り進行した。ここでは、単位の編成、学習項目の内容、成績評価システムに加えて、日米の多くの高等教育機関で使用されている代表的な教科書と教材に関する調査を行い、日米および高専と大学の比較を行った。 また、教員と学生の双方を対象として、材料力学カリキュラムと学習内容について、日本の教育機関におけるアンケート調査を進めた。これは、教科書の目次では平坦化している学習項目について、教える側の狙いと学生の理解とのかい離を理解し、重要事項等の理解を深めることを目的としている。 当初予定より遅れている項目としては、ドイツにおける上記調査である。同調査は現在進行中であるが、この調査を実施することで日米独を中心とした材料力学教育に関わる国際比較研究が成立する。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、材料力学のシラバス調査を実施し、カリキュラム構成に関わる国際比較について考察する。ここでは、成績評価を含めて、教示方法、教科書および教材に関する調査を進め、国間相違、特長についてまとめる。 更に、アンケート調査についても調査機関を増やして、教員と学生の双方の意識調査を行う。学習項目の重要度と理解について、この調査結果をベースにして、調査結果に裏付けされた、教育効果の向上を念頭に置いたカリキュラム構成について検討を進める予定である。この際、講義を進める上で非常に重要である教科書や教材についても、様々な教育機関の好事例を取り入れた新しい教材開発への発展へと展開を検討している。 上記の調査内容についてまとめ、材料力学教育の効果的なカリキュラム構成と教科指導、教科書、教材について考察する。なお、この調査結果と国際比較に関わる考察については、国内外で学会発表を行い公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、当初平成26年度予算に予定していた海外出張が、調査研究の一部遅れに伴い平成27年度へ計画を変更したことによる、旅費の執行額の変更によるところが大きい。
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次年度使用額の使用計画 |
海外旅費については、平成27年度に執行予定である。
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