研究課題/領域番号 |
25350222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石村 源生 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (90422013)
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研究分担者 |
難波 美帆 北海道大学, 創成研究機構, 特任准教授 (80422020)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | AHP / 意思決定 / 合意形成 / トランスサイエンス / ワークショップ / 参加型 / テクノロジーアセスメント / 学習 |
研究概要 |
2011年の東日本大震災の発生により、科学が問うことはできるが科学だけでは解決できない「トランスサイエンス問題」について、より一層の市民参画によるコミュニケーションの必要性が認識された。一般にこういった手法は参加型テクノロジーアセスメントと呼ばれるが、これらの手法は目前に迫る問題を解決するために地域レベルで柔軟に実施するにはハードルが高い可能性がある。そこで本研究課題においては、簡便で代表的な階層化意思決定手法であるAHP(Analytic Hierarchy Process)をベースにしつつ、各地域においてトランスサイエンス問題に関する意思決定上の課題を抱えた市民が柔軟に実施できる手法を提案し、その開発と試行を行うことを目的とする。 今年度は、AHPそのものの理論研究と実践事例の蓄積に関する文献調査を進め、AHP手法の応用可能性と制約条件を再確認した上で、本研究課題の目的への援用可能性について検討した。また、地域に於いて様々な社会課題を抱えるステークホルダーにヒアリングを行い、本研究課題のワークショップで採りあげるべき適切なテーマと、ワークショップの参加対象となる多様なステークホルダーの選出方法について検討した。 さらに、人工知能学会分科会第45回ことば工学研究会(電子情報通信学会 思考と言語研究会(TL)研究会との併催)にて今年度の研究成果を発表し、有識者と意見交換を行い、重要な示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では今年度「トランスサイエンス問題に限らない、一般の問題(具体的には個人の職業選択、居住地選択、自己資金の活用法、地域の中心市街地活性化の是非等を想定)をテーマとした、AHP手法に基づくプレワークショップを実施」する予定であったが、地域に於いて実際にワークショップを実施する以上、単なる「研究」「実験」を実施できれば良いというのは研究者側の都合に過ぎず、実際には協力者や参加者に対して一定のコミットメントを約束する責任が発生する(そうでなければ相互信頼関係が構築できない)ことから、(もちろんこのこと自体は事前に想定していたが)関係者間の条件調整に当初想定していた以上の更なる慎重な検討を要することになった。
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今後の研究の推進方策 |
1.前年度に実施する予定だった一般のテーマに関するプレワークショップを実施し、その結果を研究計画にフィードバックする。また、かつワークショップ評価手法のプロトタイプを開発し、その手法に適合するように、ワークショップを再設計する。昨年度想定以上の検討が必要となった状況を踏まえ、より効率的に研究を遂行できるようにスケジュールや研究体制を組み直す。 2.コンセンサス会議や討議型世論調査などの評価手法を参照しつつ、当該ワークショップに最も適した評価手法を開発する。その際、行政サービスの分野で活用されている「プログラム評価」の手法を基にする。 3.一般市民を対象とした、トランスサイエンス問題(具体的には生物多様性の価値、エネルギー生産と利用の選択肢等を想定)に関する「意思決定共有支援型」ワークショップを札幌地域で実施し、評価を行う。 4.今年度実施する予定であった、「ワークショップの設計・実施・評価手法を整理したクックブック(実施マニュアル)の制作」については、研究の進捗状況を勘案しながら、場合によっては来年度に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者が、転職に伴い居住地・勤務地を東京から札幌に変更したため、当初想定していた打ち合わせ等のための旅費の額を少なく抑えることができた。 札幌以外の地域でのワークショップの実施を目的とした旅費に充当する。
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