研究課題/領域番号 |
25350225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
安藤 秀俊 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70432820)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 理科 / 数学 / 観察・実験 / 理数教育 / 教材 |
研究概要 |
中教審の答申や学習指導要領では「理数の力」の充実が目標に掲げられ,今まで以上に,理科と数学は密接に連携していく必要性が示され,生徒に対して両教科の関連性を実感できるような教材の開発と指導を行うことが求められている。そこで,本研究の目的を以下の3点とした。(1)学習指導要領で示された思考力や判断力などを育成するため,理科と数学の関連性を重視し,「理数の力」の充実を目指した教育の普及を図る。(2)理科と数学の2教科の関連性を実感できるような教材や実験方法を考案し,授業における指導プログラムを作成する。(3)作成した実験指導プログラムを使用して,中学校や高等学校で授業実践を行い,その教育的効果を検証する。 まず平成25年度には,主として本研究に関連する過去の文献調査や理科と数学の関連性を意識できるような教材の開発を中心に研究を行い,天文学者であるマラルディ(1665-1729)がミツバチの巣を観察した際に発見した「マラルディの角」に注目した。本研究ではこのマラルディの角を理科と数学の共通の文脈として教材化することを目指し,具体的には正三角錐の枠をシャボン液に入れ,外側に4枚ではなく内側に6枚膜が張られる理由を表面積の計算から考察させたり,実際のミツバチの巣の底面の観察をさせ,余弦定理からマラルディの角(109度)を計算させる授業プログラムを考案した。また,マラルディの角は,この他にメタン分子の構造,A4用紙の対角,ホタテ貝の扇角度などにも現れるので,こうした身近な例を利用した授業プログラムも開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の当初目的である教材の検討と開発について,理科と数学の関連性を重視した学習内容の調査は,学校現場の研究協力者の協力を得て,高等学校の教科書を中心に十分な検討を行うことができた。その中でいくつかの教材を検討し,25年度は「マラルディの角」を用いた理数教材の開発を試みた。ミツバチの巣礎に見られるマラルディの角を,シャボン膜や粘土を用いた実験を通して,三角関数の余弦定理から導く過程の授業プログラムを考案することができ,25年度の目的はおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
26年度以降は,25年度の経過を踏まえ,「自然の中に潜む数学を探る探究活動」を中心とした教材開発を行う。一般に巻貝やヒマワリの螺旋模様はフィボナッチ数列の規則性があることが知られているが,この螺旋は,マツかさ,サボテン,パイナップルやチンゲン菜の葉序等の配置にも見られる。このような自然界,特に生物に見られる数学的に不思議な現象を題材とし,理科と数学に関連した授業プログラムの作成を行う。
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