研究課題/領域番号 |
25350226
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
田中 邦明 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20227135)
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研究分担者 |
若菜 博 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90142778)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ESD / 形成的評価 / 地域環境問題 / ワイズユース / ラムサール条約 / 協同的社会参加 |
研究実績の概要 |
目標1:学習者の変容にもとづくESDプログラムの評価モデルを策定する. 目標2:地域社会と環境指標の変化にもとづくESDプログラムの評価モデルを策定する. 上記の2つの目標についての研究として、地域環境問題である北海道渡島大沼の水質環境問題の解決を目的とする試行的ESDプログラムである「大沼青年環境サミット2014」を開催し、形成的評価を行いながら協同的社会参加を促す持続性向上のための政策提言として「大沼環境宣言2014」を策定し、事後における学習者の変容を、(1)地域環境問題の問題性の認識、(2)問題発生メカニズムの理解、(3)持続性対策の意義と実現性の認識、を大尺度として測定した。その結果、これら3つの大尺度において75%以上の満足度が得られたが、持続性対策の今後の活用に期待しながらも、その実現性についての確信度は50%未満にとどまっていた。 また、同湖沼の今後の環境問題解決と地域持続性向上についての形成的評価の指針となる環境改善目標を明らかにするために、富栄養化湖沼である渡島大沼と自然湖沼である蓴菜沼の湖沼環境の周年比較を行った結果、従来の法定環境基準値であるCODのみによる水質評価には不十分な点がみられ、より望ましいESDプログラムの評価指標としては湖沼生産性と漁業、生物多様性や景観生態系を生かしたエコツーリズム等によるワイズユースのあり方などの指標も加味した総合的な評価枠組みとモデルの必要性が示唆された。そのような総合的評価枠組みを策定する一助として、我が国の国際ラムサール条約登録湿地におけるワイズユースの実態について文献による調査を行い、先行事例の抽出を行って新たな評価モデルの構築に取り組んだ。具体的な評価モデルとしては、ESD、学習者、地域の自然・社会環境、の3つの要因間の相互作用を考慮した評価枠組みが提案された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に策定した目標の細目のほとんどを達成しているため.
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今後の研究の推進方策 |
総合的評価枠組みとして提案された、ESD、学習者、地域の自然・社会環境、の3つの要因間の相互作用モデルを、我が国の国際ラムサール条約登録湿地をはじめ、人間による自然環境の破壊とワイズユースのバランスが問題となっている地域における現地調査を行い、協同的社会参加ESDの活動指針と形成的評価モデルの普遍的有効性の検証を次年度の目標とする予定である.
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