研究課題/領域番号 |
25350235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
大向 隆三 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40359089)
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研究分担者 |
近藤 一史 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40178421)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光電効果 / ホロカソードランプ / 仕事関数 |
研究概要 |
ホロカソードランプを用いた光電効果信号の検出限界を明らかにする実験を実施した。セシウムが陰極のホロカソードランプを用い、ヘリウムネオンレーザーからの出力光をチョッパーを通したあと入射させた。放電プラズマのインピーダンス変化をオシロスコープで直接観測したところ、光電効果信号の測定を確認することができた。NDフィルターで照射光強度を減光しながらその信号強度を測定したところ、照射光強度に比例して変化をし、もっとも低くて2.26mW/cm2 まで信号検出を確認した。さらに検出感度を上げるべく、ロックイン増幅器を用いて高感度検出を試みた結果、信号検出が可能な照射光強度はさらに低くなり、0.2mW/cm2 まで下げても光電効果信号を検出した。金属の仕事関数測定では、光学フィルターを透過した光を光源とする予定であるが、この検出限界照射光強度はその方法での予想される照射光強度とほぼ同じであり、これらの実験により仕事関数測定に向けた目途をたてることができた。 上記と並行して、光電効果信号を高感度にフィルター回路を使って検出する技術を確立すべく、二段増幅型バンドパスフィルターの設計と製作、特性評価を行った。市販のオペアンプや抵抗、コンデンサなど、汎用的な電子回路部品を用いて製作し、中心周波数400Hz、Q値が50のバンドパスフィルターを製作できた。これと増幅回路を組み合わせて光電効果信号の検出実験を行ったところ、その検出限界は1.5mW/cm2であった。この値は、上述のロックイン増幅器を使った方法に比べ、7倍程度大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は計画の初年次であり、ホロカソードランプによる光電効果信号検出の基礎的データ取得が主眼であった。その意味で、信号検出の確認、信号強度の入射光強度依存性、フィルター回路の光電効果信号検出に対する有効性など、当初に予定していた実験は遂行できた。年度途中で実験機器の不具合(ロックイン増幅器)や調達物品の製造中止などのアクシデントが起き、足踏みとなった研究内容もあるが、総体的に見て今のところは順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
金属の仕事関数測定に向けて、光学バンドパスフィルターで疑似単色化した光をホロカソードランプへ照射し、そのときの光電効果信号の変化から金属(セシウム)の仕事関数測定を試みる。検出される信号強度が極めて弱くなることが予想されるので、半導体レーザーの使用も考慮する。 フィルター回路を用いた光電効果信号の高感度検出については、バイカッド型バンドパスフィルターを試作して、信号検出に使用する。フィルター機能と増幅機能を一つの回路で実施し、従来よりも高感度な信号検出ができるかどうか検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
仕事関数を測定する上で必須の単色光源装置(半導体レーザーシステム)の供給が、メーカー側の都合(半導体チップ供給ストップ)により一時的に停止したため、初年度に導入を希望していたができなくなった。代替品を探したが、必要なスペックを満たす製品を見つけるのに時間を要し、年度内の購入が困難と判断されたので、次年度にて対応するように方針変更した。 上記装置の代替品を検討し、現在は見つけることができている。その装置部品を次年度に購入することとする。実験の進捗に影響は出たものの軽微であり、十分に現在の遅れを取り戻すことができると見込んでいる。
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