実際に体感できる身の回りの植物の様々な生命現象を、肉眼、実体顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡などを活用して順次拡大した画像集を作成することを目的とした。特に新しい電子顕微鏡技術を駆使して、わかりやすく魅力的な細胞内の微細構造のイメージを紹介することにより、驚きと感動を感じさせる美しい生物の画像集を作成することを目指した。 本研究期間中に取得した身の回りの植物の様々な場面の魅力的な画像を用いて、ストーリーのある画像集としてまとめ、ホームページ「ミクロの扉」として公開し始めた。本画像集では、肉眼の世界から順次拡大する数枚の顕微鏡画像、電子顕微鏡画像の全体を俯瞰しつつ、個々の画像にカーソルを移動したり、パネルをタッチすることでズームアップできる手法を工夫した。画像集は汎用のスマホやタブレットPCでも閲覧可能である。 「光合成と葉緑体」「花のつくりと受粉」「種子の移動」「植物の陸上生活を支えるしくみ」「水の通り道」「水生食虫植物ムジナモ」など、植物のつくり、はたらき、自然とのかかわりなどに関する多様なテーマの画像集を公開している。いずれのテーマも、画像集を通して驚きや不思議さを感じることができるように工夫した。ただし、すでに公開している内容も、今後より魅力的な画像が得られた場合には随時差し換え、新たなテーマも加えるなど、拡充し続けていく予定である。 本研究により作成したホームページ「ミクロの扉」を通して、日常的に身近に触れる植物を起点として、児童・生徒が自らミクロの世界に分け入って探検するような感覚を体験することができるようになった。その過程で複雑で精巧な生命現象への理解を深め、科学への関心を喚起することが期待できる。また学校授業において行われる様々な植物の観察体験をより興味深いものとするための補助経材として活用することも可能となった。
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