研究課題/領域番号 |
25350238
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
真山 茂樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40199914)
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研究分担者 |
加藤 和弘 放送大学, 教養学部, 教授 (60242161)
大森 宏 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10282691)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 河川環境教育 / 生物教育 / 珪藻 / 底生無脊椎動物 / シミュレーション / ビデオ / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
①前年度に続き強く汚染された河川の写真データベース構築するため、インドのプネー市内の河川およびデリー市近郊のヤムナ川の強腐水域を9月に訪れ、写真およびビデオを撮影した。また、海外の研究協力者から、南アフリカとトルコの汚濁河川の水域の写真を収集した。 ②SimRiverのプログラムを改良し、複数の河川を作った場合、それらの結果を1つのモニター上で容易に比較できるようにした。 ③貧腐水域~強腐水域まで、4つの水質域の河川の底生マクロ無脊椎動物を探索する3Dゲームプログラムを完成した。このプログラムは、CGで作られた当該水域の水中内の景観の中を、PCの矢印キーとマウスを使って場所を移動し、石の陰や水生植物の茂みの中、底泥の中などに潜む生物を探し出すものである。これを“ケイソウプロジェクト”ウェブ教材システムの“SimRiver”とリンクさせることで、“SimRiver”でシミュレートされた水質域のマクロ生態環境を仮想河川で目視できるようにした。また、水中探索ゲームを高校生物の授業で使用し、実施後に生徒から多くの感想や意見を得ることができた。これらは、平成27年度研究におけるプログラム改良に使われる。 ④ペルシャ語、ヒンディー語、アフリカーンス語のビデオのビデオナレーションを作成し、映像と共にオーサリングした。また、それらの言語のウェブページの作成を行った。これにより、本教材システムは世界の25言語地域での使用が可能となった。 ⑤中学校、高等学校および国際中等学校の教員の協力の下、それぞれの学校で“ケイソウプロジェクト”ウェブ教材が使用できる指導案を作成し、授業実践前後に評価のための調査を行った。なお、国際中等学校ではインターナショナル・バカロレア・プログラムに対応した授業案を作成した。また、授業で使用するために学校教員に対しても指導案を作成し、彼らの研修の場で本教材の実践を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材の開発面では、水中生物探索3Dゲームプログラムが難航しつつもようやく完成し、授業実践により多くのフィードバックを得ることができた。これにより27年度での具体的改良に繋げることができる。SimRiverのワークシートの改良もバグなく完成した。しかし、扱うデータ数が多い場合は回線速度に依存したミス表示がされる場合もあり、授業におけるパーフェクトな使用のためには改良が必要であることがわかった。汚濁河川の写真とビデオ撮影はインドでは、予想以上に成果を上げることができた。反面、海外協力者から得た、トルコと南アフリカの河川の写真は、撮影技術の問題により、汚濁状況がわかりにくいものであった。本国際教材が25言語に増加したため、今後、各国からのシステムへの授業実施後の感想や意見の書き込みの増加が期待できる。中学校および高等学校での汎用性のある教授方法は、当該校の教員の協力もあってよいものができたと思われる。しかし、国際中等学校では指導案作成ができたものの、授業実践は26年度中には行うことができなかった。富栄養河川対応のSimRiverはブラジル、カナダおよびポルトガルの河川からのデータを協力研究者から得ることができたが、データセットを序列化したところ、シミュレーションモデル作成のためには不向きであることが判明した。現在、韓国の研究協力者からデータを得て解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に高校生から得られた感想と意見を基に、水中生物探索ゲームプログラムを改良するとともに、どの水域でも軽快に動けるようにする。また、インドで撮影したビデオをウェブ教材システムに組み込み、静止画のみならず、動画でも汚濁河川を表示できるようにし、教材の強化を図る。 教材を用いた授業の有効性を、日本のみならず多言語地域でも実践する。各国語で記述された回答文を英語に翻訳し、テキストマイニング分析を主体とする統計学的解析を行う。 教育実践結果をフィードバックし、国際的に汎用性の高い教育プログラムを考案する。 研究成果を学会で発表するとともに、学術雑誌に論文として投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人が昨年度東京大学から放送大学へ異動したが、その際に生じた会計事務上の煩雑な状況下、200,000円の物品予算のうち138,780円しか使用できなかった。このため、残額61,220円が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度使用できなかった物品購入を含め、最終年度である27年度は予定された研究を完遂するよう、消耗品を購入する。
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備考 |
25言語での公開(2015年4月末日現在)
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