研究課題/領域番号 |
25350240
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山崎 貞登 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40230396)
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研究分担者 |
人見 久城 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10218729)
二宮 裕之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40335881)
大谷 忠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80314615)
磯部 征尊 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70736769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | STEM教育 / リスク評価教育 / Engineering教育 / イノベーション教育 / ガバナンス教育 / Design教育 / Technology教育 |
研究実績の概要 |
第2年次研究を成果報告書として冊子体を作成した。同報告書PDF版は,次のURLからのリンクが可能である。http://kaken14.tech.juen.ac.jp/ 報告書第1部では,研究分担者の人見,大谷,二宮による,国際技術・エンジニアリング教育者学会(International Technology and Engineering Educators Association, ITEA)の第76回年次大会に参加し,STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育に関する最新情報を提供した。 第2部,第3部では,研究分担者磯部らが,教科「Design and Technology(DT)」からのイングランドSTEM教育に関する最新の現地調査と,2014年9月から実施のイングランドのナショナルカリキュラム(NC)「DT」と「Computing」の改訂に対するSTEM教育運動の影響について明らかにした。 第4部では,2014年11月26日~29日にオーストラリアで開催された,「テクノロジー教育研究に関わる隔年開催の第8回国際会議」に参加発表し,主に,本研究課題に関わるリテラシー育成の科学・技術連携カリキュラムの我が国における現状と課題について,IEEEA(2000)の「K~12学年までの技術リテラシーのための内容スタンダード」と,2014年イングランドNC「DT」と「Computing」と比較教育的観点で明らかにした。 第5部では,中学校技術分野の教科固有の育成すべき資質・能力に対応した学習評価規準と評価方法の実践研究をまとめた。第6部では,欧米のSTEM,STEAM, Engineer等概念と,我が国における技術,工学概念等の差異性などについてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要目的の1つであった2014年ITEEA年会参加による最新のSTEM教育の動向に関して情報収集と解釈について,第2年次研究報告書で明らかにできた。一方,Science,Technology,Engineeringに関する発表は多く見られたが,Mathematicsを前面に取り上げた研究発表はほとんど見られなかった。かろうじて「数学」を標榜したものとして,Geometry-in-Construction: STEM Lessons Learned Mike Lindstrom (Minneapolis Public School's CTE Program) をあげることはできるが,数学教育の視点からの議論はほとんど見られないものであった。Science,Technology,Engineeringの問題解決の過程で,数学が果たす役割は大きく,Science,Technology,Engineeringが数学における考え方や表記法によって相互に結び付いていると言っても過言ではない。STEM教育を考察する上で,数学教育のかかわり方は重要である。この視点から研究情報を引き続き収集し,分析していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2014年3月31日の中教審検討会では,現学習指導要領の各教科等の教育目標・内容を,「ア)教科等を横断する汎用的なスキル(コンピテンシー)等に関わるもの」,「イ)教科等の本質に関わるもの(教科等ならではの見方・考え方など)」,「ウ)教科等に固有の知識や個別スキルに関するもの」の3視点で分析し,学習指導要領の構造を検討する重要性を指摘している。 数学,理科,技術教育の関連性について,前述のウ)に関しては,先行研究等が見られる,一方,前述のア)とイ)に関しては,国内先行研究が管見の限りきわめて少ないようである。そこで,最終年次では,前述のア)の問題解決,論理的思考,メタ認知プロセス等と,イ)各教科の本質にかかわる永続的な理解を伴い,本質的な理解を伴う概念とプロセス思考に着眼する。 第1は,科学教育とテクノロジー・エンジニアリング教育の学習プロセスに注目した検討である。米国のNext Generation Science Standards (2013)の「Scientific and Engineering Practices」の学習過程における,サイエンスとエンジニアリングの類似性と差異性に注目する。その際に,2008年告示小・中学校学習指導要領理科の問題解決能力の各学年の重点指導事項と,2009年告示高等学校学習指導要領理科の課題研究の学習過程に関連させながら研究を進める。 第2は,数学教育とテクノロジー・エンジニアリング教育の学習プロセスに注目した検討である。OECD/PISA数学的リテラシーの「数学化サイクル」,米国におけるCommon Core State Standards (CCSS)の「プロセスと熟達」,イングランドNC数学の数学的プロセス,我が国の算数的活動,数学的活動を参考にし,数学教育とテクノロジー・エンジニアリング教育の類似性と差異性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年9月に,東京都内で,研究代表者及び研究分担者が全員による研究打ち合わせ会議を予定していたが,全員の都合が合わずに,メール等による打合せになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年9月5日(土)13:00~17::0及び,翌日9月6日(日)8:30~16:00,東京田町のキャンパスイノベーションセンターの上越教育大学東京サテライトで,研究代表者と研究分担者による研究打合せ会議を行う。会場予約も手配し,全員の出席も可能な状況である。交通費及び宿泊費に充てる。 平成27年度は,旅費計60万円,その他(最終年次研究成果報告書印刷)で40万円を計上している。報告書は,700部印刷し,全国国立大学図書館,各都道府県・政令指定都市等教育センター等に郵送する。
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