研究課題/領域番号 |
25350242
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
松森 靖夫 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40240866)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教師教育 / 理科教育 / 小学校教員志望学生 |
研究実績の概要 |
平成25年度の研究成果を踏まえるとともに平成26年度の研究目的である「非理科系の小学校教員志望学生の資質向上を図るプログラムの開発」の基盤となる詳細なデータを収集し,その諸特徴や改善のための具体的グログラム等を提案した。その一端は下記の当該学会における口頭発表①・②等や学術論文①等として公表した。 口頭発表①石川晃久・松森靖夫・佐藤寛之「鳥類に関する小学校教員志望学生の直接経験や知識に関する調査-小学校理科教科書における鳥の写真を題材にして-」日本理科教育学会第53回関東支部大会(群馬大会)発表要旨集に所収,2014.【要旨】多くの小学校教員志望学生が鳥類概念の内包について認識できている一方,その外延については極めて低い認識状態にあることを指摘するとともに,鳥類概念に対する今後の取り扱い(含,学習プログラム)についても言及した。 口頭発表②後藤斐武・佐藤寛之・松森靖夫「物質の変化に関する小学校教員志望学生の認識調査-化学変化と物理変化を中心として-」日本理科教育学会第53回関東支部大会(群馬大会)発表要旨集に所収,2014.【要旨】化学変化と物理変化の概念規定に関して,多くの教員志望学生が認識できている一方,具体的事例の認識は低いことを解明した。また,両変化の認識達成を促すフローチャートの有効性についても検討を加えた。
学術論文①松森靖夫・佐藤寛之・望月文「チョウの生活環と生活様式に対する小学校教員志望学生の認識状態について-Cinici(2013)の調査問題を参考にして-」山梨大学教育人間科学部『紀要』,第16巻(通巻23号),157-165頁,2015.【要旨】チョウの生活環と生活様式に対する小学校教員志望学生の低い認識状態を指摘し,再教育プログラムのあり方に検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究目的は「非理科系の小学校教員志望学生の資質向上を図るプログラムの開発」であった。しかしながら,プログラム開発の基盤となる小学校教員志望学生の認識状態は実に多様であるため,その全貌を把握するための基礎研究に多くの時間を充当しなくてはならなかった。 なお,それら基礎研究の成果の一端を,日本理科教育学会発表論文集への掲載や,山梨大学教育人間科学部『紀要』への掲載等を通して公表するとともに,一定の評価を得てきた。 例えば,日本理科教育学会第53回関東支部大会(平成26年開催,群馬大会)では,化学変化と物理変化に対する小学校教員志望学生の低い認識状態を報告するとともに,両変化の認識達成を促すフローチャートの有効性についても検討を加えた。また同支部大会では,鳥類概念の外延に対する小学校教員志望学生の認識状態に考察を加え,鳥類概念の学習プログラムのあり方にも言及した。 さらに,山梨大学教育人間科学部『紀要』(平成27年)においては,チョウの生活環と生活様式に関する低い認識状態を指摘して,望ましい動物概念の育成を試行した学習プログラムについて検討した。また,同誌においては,月の見かけの形に対する小学校教員志望学生の認識状態が極めて低いことを指摘し,天文概念育成に関わる再教育プログラムの必要性を強調した。 なお,冒頭で述べたように,時間的制約から幾つかの具体的プログラムについて提案したが,プログラムの体系化やその実施には及んでいない。さらなる研究を遂行する必要もあり,自己点検による評価を(3)やや遅れている,と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の【現在までの達成度】で述べたように,平成26年度の研究目的であった「非理科系の小学校教員志望学生の資質向上を図るプログラムの開発とその試行」に若干の遅れが生じた。そのため,平成27年度(最終年度)においても,平成26年度の目的であったプログラムの開発と試行を継続的に遂行していく同時に,以下に示す平成27年度の研究目的の達成を目指して今後の研究を推進していく予定である。 【平成27年度】プログラム(含,指導資料)の開発,試行,及び実際的運用と,その実効性の検討 平成25年度と平成26年度の研究で得られた知見(非理科系の小学校教員志望学生の自然認識の実態,及び提案した学習プログラム)等を基盤にしながら,開発した体系的プログラムを活用し,非理科系の小学校教員志望学生に資質向上を図るとともに,その有効性についても実証的に分析を加える。具体的には,①プログラムの開発とその体系化(平成26年度からの継続),②プログラムの試行(平成26年度からの継続),③プログラム(含,指導資料)の運用の基盤となる専門的知識の獲得と補充,④プログラム(含,指導資料)の実際的運用の依頼,⑤プログラム(含,指導資料)の送付,⑥プログラム(含,指導資料)の実際的運用とその記録,及び⑦プログラム(含,指導資料)の教育効果の分析と公表である。 なお,得られた知見は報告書としてまとめるとともに,当該学会の学術論文や学会発表を通して評価を仰ぐとともに公表する予定である。
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