研究課題/領域番号 |
25350255
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
笠 潤平 香川大学, 教育学部, 教授 (80452663)
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研究分担者 |
岡本 正志 大阪成蹊短期大学, 幼児教育学科, 教授 (70149558)
谷口 和成 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90319377)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学教育 / 科学リタラシー / カリキュラム / 中等教育 |
研究実績の概要 |
1)科学への信頼の危機を踏まえた、市民のための科学的リテラシーの育成と理科教育の関係という本研究全体の課題については、最近始まった「けいはんな科学コミュニケーション推進ネットワーク」(代表・池内了総合研究大学院大学名誉教授)のキックオフ・ミーティング(国際高等研究所)での招待講演などで発表した。 2)昨年度に続いて日本とイギリスの中等学校科学カリキュラムの比較、科学的リテラシーの育成のための中等科学カリキュラムをめぐる英国の論争とその中での理系諸学会および政府の動きについての調査・研究を行い、昨年度の物理学会での発表につづいて、その後の研究も含めてその成果を論文化しまとめた。同様の成果は現時点では他になく、日本学術会議の科学と社会委員会 科学力増進分科会高校理科教育検討小委員会(第22期)で報告を依頼されるなどしている。また、昨年度に続いてアメリカのPSSC物理を始めとする戦後の科学教育カリキュラムの現代化の経緯についての調査・研究を継続し、その成果をまとめて、物理教育学会研究大会で発表した。 3)市民のための科学的リテラシーを育成する科学教育の実践のための短い教員研修プログラムを作成し、教員養成系学部において試行した。 4)日本の科学教育における原子力・放射線教育の在り方について、将来の市民の議論への参加を保障するという観点から調査・研究し、その方向性についての試案を作成し、論文化した。これに対しては、日本教育方法学会から来年度の大会において講演を依頼されるなどしている。勤務校の附属中学校理科教員との協力などによって、実践的研究を継続しており、次年度に教材と授業プランの形でまとめる予定である。 5)科学の営みのうち、科学的探究の方法についての中高生向けの授業プランは昨年度に引き続き豊富化し協力校で実施をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度・今年度の研究成果を論文化し、研究業績の概要で触れたようないくつかの招待講演に見られるように一定の広がりがある反響を得ている。また、将来の市民の科学的リテラシーのための授業プランおよびその担い手となる教員研修向けのプログラムの方向性についての研究は、(1)科学と社会の関係についても(2)科学の営みとしての探究活動についても、実践的にも理論的にも進捗していて、その成果が評価され始めている。海外視察はできなかったが、英国のカリキュラム論争の資料収集と理論的検討は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)現代の科学教育カリキュラムのあり方について、昨年度実行できなかった海外視察も含めて研究を資料およびインタビューなどの実地調査等による研究を深め、その成果を論文化する。 (2)市民の科学的リテラシーのための教材づくりについてのシンポジウムまたは公開研究会を開き、本研究の成果を発表するとともに、他の研究者による多様な観点を取り入れるための機会とする。 (3)中高大での教育現場で利用可能な科学的リテラシーの育成のための教材・授業プランとその実践のための教員研修プログラムを完成させる。 (4)本研究の成果をまとめ、学会発表および学会誌および単行本(共著)の形で出版する論文の形でまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献蒐集と各種研究会に呼ばれて科学技術社会論その他の研究者、科学教育関係者および現場教員との討論の機会を得られたため、校務などとの調整によって海外視察とシンポジウム開催を次年度へと繰り延べることにした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究成果を踏まえて海外視察とシンポジウム開催および学会等での発表を行うために昨年度未使用の旅費を使用する予定である。また、教材の製作費用にも必要額を充当する予定である。
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