研究課題/領域番号 |
25350256
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
掛下 哲郎 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10214272)
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研究分担者 |
大月 美佳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20315138)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育工学 / 情報工学 / 情報システム / 科学教育 / IT人材育成 |
研究実績の概要 |
情報社会が進展する中で,高度なIT人材の重要性はますます高まっている.高度なIT人材を育成するためには,大学での情報専門教育を始めとする情報教育と,産業界におけるIT人材育成の取り組みや情報系資格を始めとするIT人材の評価制度の間で整合性を確保する必要がある. 本研究では,情報処理学会が策定した情報分野のカリキュラム標準J07を構成する5領域(CS,CE,IS,SE,IT),IT業界等で標準的に参照されている情報系のスキル標準(ITスキル標準,組み込みスキル標準,情報システムユーザースキル標準),共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF),情報分野の資格制度(情報処理技術者試験,技術士(情報工学),認定情報技術者制度等)の相互関係を明確化することを目的としている. 平成26年7月末に,IPA(情報処理推進機構)はiコンピテンシ・ディクショナリ(iCD)を発表した.iCDは3つの情報系スキル標準や,それらを統合するために策定されたCCSFに,新たな人材像を盛り込み,国際標準との整合性にも配慮したモデルである.iCDはタスク,スキル(423個),知識(8255個)という相互に関連する3種類の要素を用いて情報系人材の能力を定義している.iCDでは,知識体系等の網羅性は確保されているものの,相互に排他的でない知識等が多く含まれているため,系統的な整理を行う必要がある. 平成26年度の研究では,iCDの知識体系と,先に我々が提案したICTBOK(知識項目数155)の対応づけに関する研究に取り組み,レーベンシュタイン距離等を活用した自動対応づけアルゴリズムを開発した.これを通じてiCDのタスク,スキル,知識間の関連を明確化した.また,iCDが提供しているJ07や情報処理技術者試験との対応関係を参照して,これらの関係を明確化するためのツールを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年7月末にiCDが発表されたことを受けて研究計画を修正した.また,IEEE Computer Societyは資格制度(CSDP,CSDA)の運用を停止したことから,それに関する調査・分析は行っていない.しかし,国際標準ISO/IEC 24773の策定に向けた作業が,研究代表者も参画して進んでおり,その中で,情報分野の知識,スキル,タスクを相互参照する枠組みが形成されつつある. 平成26年度には,EUが策定を進めているIT分野の知識体系の原案において,本研究の昨年度までの成果をまとめた論文が引用された.IFIP IP3に対するプレゼンテーションや,ACM Learning Center Bulletinに掲載されたインタビュー記事等を通じて,本研究の成果を世界に発信することもできた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には,iCDの他に技術士(情報工学)の知識体系の整備が進行した.我々は,同知識体系の原案を入手しているため,本年度はその分析を行う.日本学術会議は情報分野の参照基準を策定しているが,研究代表者は情報処理学会・情報処理教育委員会を通じて同参照基準の策定にも参画しているため,参照基準の最新版に対する分析作業を進める.また,先の基盤研究(課題番号22500858、平成22~24年度)の中で開発したWeb情報システムcresieを活用して,得られた知見の普及活動に取り組む.これらの取り組みに基づいて最終年度の成果をとりまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題に係る講演を2015年3月の情報処理学会全国大会(於:京都大学)で行うことになったが,会計上の制約により,3月の出張旅費を科研費にて支出できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は本研究の最終年度に当たるため,論文としての取りまとめや研究報告書の作成を進める.その中で繰り越した約10万円の研究費を利用する.
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