気候リテラシーは,「気候とその変化及び気候と人間活動の相互作用について理解し,気候の変化に関わる意思決定をするために,科学的・工学的知識を使用し,課題を明確にし,証拠に基づく結論を導き,実行する能力」とした.「気候と人間の活動の相互作用」では,「気候が人間活動に影響する」ことは,グルーバルにもローカルにも理解し易い.しかし,「人間活動が気候に影響する」ことをグローバルに実感することは難しい.その原因は,気候の決定要因に対する理解が不足しているためと考えた.そこで,カリキュラム開発では,気候の決定要因に対する理解を深める実験教材を開発した. 研究成果の公表として,日本エネルギー環境教育学会では,学習指導要領の理科と関連付けて,『再生可能エネルギーの利用技術に関する教材』を発表した.また,日本科学教育学会では,数学で学習する度数分布やデータの散らばりを示す箱ひげ図などを理科の学習で取り入れることを提案した.そして,欧州気象学会では,「文系学生のための再生可能エネルギーを通したSTEM教育」を発表すると共に研究動向を調査し,気候変動の影響として農業分野が重要であることがわかった.北京大学・桜美林大学シンポジウムでは,「地球温暖化と気候変動-その考え方と理解増進活動-」として,1951年以降の北京と東京の気候変化について報告し,気候変化の地域性と国際社会の対応の難しさを論じた. 研究成果の普及として,日本学術振興会のひらめき☆ときめきサイエンス事業の支援を受けた高校生のための環境科学講座を開催した.参加者13名へのアンケート結果は,約58%が「とてもわかりやすかった」,「非常に興味がわいた」と回答しており,開発教材が学習者に受け入れられたと判断した.指導者への普及の手段として,実験教材をビデオやタイムプス撮影,高速度撮影により映像化し,研究室のWebサイトに公開した.
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