研究課題/領域番号 |
25350264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井上 浩義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10213175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線 / 原子力 / 原子力事故 / 科学的理解 / 社会的理解 / 放射線教材 / 教育実践 |
研究概要 |
本研究課題においては、福島第一原発事故後に、国民の放射線・原子力に関する認知、知識等が事故前とどのように変化したかを調査し、それに従った放射線・原子力教育教材の作成を行うことを目的とした。本年度には、中学校および家庭(親子)を単位としたアンケート調査を実施した。特に中学校については、全国の約3000校の中学校にアンケートを送付し、その結果を現在解析中である。本アンケート調査結果については研究代表者が理事を務めるNPO法人放射線教育フォーラムが実施した福島第一原発事故前の全国調査の結果があり、これとの比較により当該事故前後の放射線・原子力に関する意識、知識、展望などの変化が明確になることが期待される。また、同じく家庭(親子)についても申請者らは本年度に約100名(家庭)のアンケートを収集しており、これらとこれまで15年間積み重ねてきた約1200名(家庭)分のアンケート調査結果と比較することによって比較において原発事故前後の変化を明らかにする作業が進行中である。更に、本年度から放射線・原子力の理解に関する教材作成を開始しており、放射線の基礎(放射線の種類、放射線の単位、放射線の性質など)、放射線の人体への影響、放射線・原子力の管理方法、放射線・原子力の環境への影響等についての教材を作成した。また、当該教材の教育効果を検討するために、平成25年7月に福岡市(中央区)で、同年8月に横浜市(港北区)で小学5年生~中学3年生を対象とした放射線教室を開催した。定員合計60名のところを、応募者は400名を超えた。本放射線教室では、講義、実習、およびディベートを行い、放射線の基礎から応用まで全般を学んで頂き、アンケートでは非常に良好な教育効果であったとの回答を得たが、学習の継続性に問題があり、今後、自宅等でも継続して学べるe-learningシステムの開発等が必要であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定して通り、アンケート調査は終了している。ただし、その解析に時間が掛かっており、解析の一部は次年度(平成26年度)に持ち越すことになった。また、放射線・原子力の理解のための教材作成も順調に進んでおり、その教育実践も福岡市と横浜市で行い、良好な反応を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在のアンケート調査の解析を加速し、過年度のアンケート調査と比較する作業を促進する。本結果については学会等で公表し、今後の放射線・原子力の理解のための教材作成の基盤となるようにする。また、当該教材を使った教育実践についても今後さらに進めて行きたい。 今年度の教育実践で課題として挙がった教育の継続を可能とする教材あるいはシステムの作成については、平成26年度中にその方策を見い出し、対処するように努める。
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