研究課題/領域番号 |
25350268
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
福井 智紀 麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (00367244)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学教育 / 理科教育 / STS教育 / 科学技術社会学 / 意思決定 / 合意形成 / 参加型手法 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、下の4点をおもな研究目的としている。1、科学技術に関する意思決定と合意形成に焦点を当てた先行研究を概観し、理科教育界の現在における到達点を明らかにする。2、科学技術に関する意思決定と合意形成を支援するために、理科教材が満たすべき要件を明らかにする。3、科学技術に関する意思決定と合意形成を支援する理科教材を開発する。4、開発した理科教材を試行し、開発教材が育む資質・能力を明らかにする。また、これらの達成を目指す研究計画は、大局的には、情報収集のフェーズ(第1段階)、開発準備のフェーズ(第2段階)、教材開発のフェーズ(第3段階)、試行・評価のフェーズ(第4段階)、の4段階の研究作業からなる。 今年度は、情報収集のフェーズ(第1段階)にあたる作業は継続しつつ、開発準備のフェーズ(第2段階)にあたる作業を進めてきた。ここでは、科学技術に関する意思決定と合意形成を支援するために、開発する理科教材が満たすべき要件について、検討をしてきた。また、実際に開発する教材においてテーマとして設定する具体的な内容・領域を検討するため、科学技術が関わる社会的な問題群の中から、いくつかの候補について情報・素材を収集してきた。これらを踏まえ、科学技術に関する意思決定と合意形成を支援する理科教材の開発に、部分的に着手した。 さらに、本研究に関わる補助的な研究作業も行ってきた。例えば、科学技術に関わる参加型手法について、前回の市民調査よりも若い世代(学生)に対する調査を行い、その意識の一端を明らかにした。また、意思決定や合意形成の過程における討論場面について、録画録音データに基づく分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、これまでの研究作業を継続しつつ、さらに教材開発(第3段階)に進むこととしていた。実際に、教材開発について一部着手したものの、当初の計画よりも試行版の教材作成が遅れている。主な理由は、科学技術政策、学校教育政策、新しい科学技術の研究開発などのリアルタイムな進行状況をフォローするため、情報収集について入念に行ってきたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最終年度にあたるため、まずは教材開発のフェーズ(第3段階)において、教材の試行版を完成することに注力する。さらに、試行・評価のフェーズ(第4段階)において、教材の検証を行うことにする。 なお、今回の被験者は、中等教育段階の生徒が望ましいと考えるが、学校現場の協力体制や負担を考慮し、状況によってはまずは大学生を対象に予備的な試行・評価を行うことも検討する。これらの試行・評価においては、被験者の事前・事後の変化を質問紙調査で把握する他、録画録音データに基づく質的な分析も行い、開発教材の効果や課題を多面的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画に則って作業を進めるよう留意してきたものの、各段階の作業についてやや遅れが生じた。また、昨年度段階での作業の若干の遅れも、本年度も研究の遂行に影響を及ぼした。また、研究の進捗に応じて、当初予定した経費が不要になったり、その反対に、急遽新たな図書資料や消耗品が必要となったりした。また、学会への参加計画も、公私の状況により一部変更を余儀なくされた。これらによって、一部の研究経費については次年度使用額とさせていただいた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度にあたるため、これまでの研究状況の遅れを挽回しつつ、未使用額として次年度使用額に繰り越した分についても、適切に使用していく予定である。研究課題に関連する図書・論文等のさらなる収集、教材開発における素材、その他研究遂行の上で必要となる物品等について、物品費を使用する。また、研究成果公表や調査・情報収集等のために旅費を、データ整理・入力等の研究作業補助のためなどに人件費・謝金を、教材の印刷製本などにその他の経費を、それぞれ適切に使用していく。なお、これらの使用計画のうち、研究遂行の途上で不必要となったものについては、使用ルールの範囲内で研究計画全体の中で適切に使用することで、研究課題の達成をめざす。
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