研究課題/領域番号 |
25350272
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西澤 岳夫 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00300509)
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研究分担者 |
佐藤 彰治 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (40141858)
森 太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70312387)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 北方先住民族(アイヌ) / 土葺住居(トイチセ) / 穴居 / 教育プログラム / 温湿度 / 熱損失 |
研究実績の概要 |
過年度建設したトイチセの温湿度に関わる追加実測を実施するとともに、比較のためにチセ(既存)にモセム(前室)を増築、あわせて放射温度性状の分析を行った。また、総括としてこれまでの一連の活動・研究内容を冊子にまとめ関係者に配布した。 温熱環境の実測について以下にその概要を記す。 熱源としては薪と開放型灯油ストーブを使用し、計測機器としては温湿度計と簡易グローブ温度計および熱画像カメラを用いた。実測日は、2016年12月14日~16日(トイチセ/熱源:薪/実測時間:各日3時間)、2017年3月8日(チセ・トイチセ/熱源:開放型灯油ストーブ/実測時間:3時間)、同年3月16日(チセ・トイチセ/熱源:薪/実測時間:17時30分から翌日5時30分まで)。なお、3月16日の実測では前述測定項目の他に一酸化炭素、二酸化炭素濃度の計測を行った。 実測及び計算結果は次の通り。2016年12月14日~16日にトイチセで行った薪燃焼実験におけるピーク時の簡易グローブ温度分布から、扉の開閉に関わらず、炉に近い地点で最も高い温度、入口付近で最も低い温度となり、また、扉を開放することで放射温度の分布が大きくなることや、3日間の断続的な暖房による予熱・蓄熱効果の可能性が見られた。同一実験期間の熱画像から同じく断続暖房実験の結果として放射のみならず囲炉裏から地面への熱伝導による蓄熱効果の可能性が窺えた。2017年3月に実施した灯油ストーブによるチセの暖房実験の結果、温度差と発熱量から求めた熱損失量は約2400 kJ/hKと推定され、改修前よりも約2割減の効果(前室の効果)が見られた。また、宿泊実験時(3/16)の薪消費・発熱量から求めた熱損失量はトイチセ(扉開放)で約1900 kJ/hK、チセで3800KJとなり、灯油消費・発熱量から求めた熱損失量との相違がみられるが、相対的な差異は妥当であると考える。
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