全研究期間を通して,地域素材を活用したCSアンプラグドActivityの開発ならびに試行に基づいた評価・改良を行った. まず,既開発のActivityについて地域素材活用の観点から整理・見直しを行い,その結果を国際学会で発表した.具体的には,島根県松江市の地理的特徴(地域素材)を活用してボトルネックの概念を学習できるようなActivityである.また,この発表を踏まえて,論文を国際論文誌に投稿し,採録された. 次に,出雲神話に登場する「やまたのオロチ」(地域素材)を活用して,プロセスのスケジューリングを学習できるようなActivityを考案し,教材開発を行った.同Activityの複数回の試行に基づいて評価・改良を行った結果,同Activityが教材として成立する見通しを得たと判断する.但し,CSアンプラグドにおける地域素材活用の有効性については明確な結論を得ることができなかった.さらに実践を重ねて,より多くのフィードバックデータを収集する必要がある. 最終年度には,同Activityの成立性をデザインパターンの観点から検証するとともに,試行を3回実施し(大学低学年生向け2回,高専低学年生向け1回),教授法の改良,評価データの収集を継続した.並行して,学会発表による情報発信を積極的に行い,有識者との質疑応答を通して有益なフィードバックを得た.これらフィードバックの同Activityへの反映についてはすべてが完了しているわけではなく,今後の課題として残っている.また,同Activity開発に関して,主要論文誌への論文投稿を行ったが,期間内に採録には至らなかった.査読者の勧めに従って,投稿種別変更,それに伴う内容改訂を進め,採録を実現することとしたい. 教育効果の評価手法については,文献調査を継続し,そこで得られた知見を上述の試行時のアンケート内容などの改善に逐次生かした.
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