21世紀は自然災害の時代とも言われるように、日本列島では地震や火山の噴火、集中豪雨などが頻繁に発生している。その被害の様子はどこも同じではなく、微細な地形の高低差や地盤の強弱など、土地の性質や成り立ちと密接に関係している。 そこで申請者の勤務する博物館(県立)では、本研究の成果を基に、身近な地域から見た自然災害をテーマにした展示「ところ変われば備えも変わる あなたの街と自然災害」を企画し、平成30年3月3日より実施している(5月27日まで)。 この展示では、千葉県を6つの地域に分けて、それぞれの地域の地形地質や昔の様子を、景観や地層、歴史資料、新旧の地形図や空中写真から読み解き、それらに過去の災害の痕跡や被害の分布を重ね合わせ、どこでどのような災害が起こりやすいのかを、地形模型などで示している。 これらの準備のため、平成29年度は、地形模型や地層剥ぎ取り、古文書や絵図、各種のハザードマップなどの展示資料の制作、収集(借用)を行い、100枚以上の展示パネルを作成した。特に地形模型に関しては、「千葉市都川流域埋没谷地形模型」「東京湾岸埋没谷地形模型」「九十九里浜1:25000地形模型」など、大型の模型を完成させた。 なおこれらの展示に関連した教育普及事業(防災ジオツアーなどの野外観察会、起震車に乗ってみようなどの子ども向けイベントなど)や、地形や防災の専門家を招いての講演会なども行い、博物館という社会教育の場での防災教育を実践した。 今後は、アンケートや来館者への聞き取りなどを基に、展示や防災教育の評価を行う。
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