平成27年度の研究成果として、国際会議発表1件、国内会議発表3件、紀要2件、特許申請1件があった。主要な研究成果の具体的な内容としては、以下が挙げられる。・医学部OSCE(客観的臨床能力試験)のための標準模擬患者の育成を目的として、無線型電子ペンによる手書き文字入力を用いたトレーニングのためのシステムと、iPad Proを用いたトレーニングのためのシステムを新たに開発し、試用を行った。このシステムの狙いとしては、従来は固定された場所に着席して評価を行なっていた状況から、自由に動いたり歩いたりしながら観察し、評価できることを狙ったものであった。しかしながら無線型電子ペンを用いたシステムではシステムの構造が想定よりも複雑になり、結果として日常的に安定して使用するには、このままでは難しいことが分かったため、論文等での発表には至らなかった。一方iPad Proの使用には、かなり前向きな感触が得られたが、iPad proの入手が2016年に入ってからだったため、外部への発表は準備中の段階にとどまった。・学習における気づきを促すために、複数の観点の検討、システムの再検討を行った。得られた知見としては、分野によって典型的な視点はあり、それによって効果的に気づきを促すことができるということ、また、より多様で深い気づきを促すには、自由な視点を記入できた方が良いことである。特に初学者には典型的な視点が学習に役立ち、学習が進むにつれて自由な視点の導入が効果的であると思われるが、その確認には至っていない。
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