研究実績の概要 |
本研究は,リアルな実験学習を可能にする教育支援システムの技術として,実体験追求型VR (experience-oriented virtual reality; XVR) を提案する。具体的には,XVR のユーザーが,実際にものづくりや回路実験を行うことと同等の体験ができるシステムを実現するために,次の(1)~(4)に示す4種類のリアリティに関する技術を開発し,実験教育支援システムへの応用を検討した:(1) 観測的リアルティ,(2) 操作性リアリティ,(3) 製作的リアリティ, (4) 計測的リアリティ。昨年度までの研究では,(1)~(3)の技術開発を行った。平成27年度の研究では,まず3Dプリンタを新たに導入し,実体モデルによる「(3) 製作的リアリティ」の拡張に関する研究を行った。この研究では,前年度に導入した3D VRワークステーション,及び開発ソフトウェアを用いて作成した「ものづくり」実験教育のための立体映像コンテンツを用いて,実際の製作部品(回路の基板や素子等)や作製したものと同等の実体モデルを,3Dプリンタにより造形することを可能にするシステムを構築した。このような機能の拡張により,XVR システムのユーザーは,製作部品の実体モデルを用いて,疑似的にものづくりを体験したり,コンピュータ上で仮想的に作製したものを,現物と同じ大きさと形状の3次元実体モデルとして実際に手にすることができるようになり,実体験とほぼ同等の「ものづくり」実験の学習効果を得ることができる。 さらに,3D VRワークステーションと,これまでの研究で開発したバーチャル計測システムを組み合わせることによって,「(4) 計測的リアリティ」を実現するための研究を行った。この研究で開発したシステムにより,前述の製作的リアリティにより造形した実体モデルを用いて,作製した(回路などの)ものに対して実際に測定器を用いた計測を行うこととほぼ同等の学習を可能にすることができる。
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