研究概要 |
1. 一貫性・明瞭性診断による静的UMLモデリング学習支援システムを開発し評価した。 UML (Unified Modeling Language) によるオブジェクト指向モデリング初学者の最初の目標は「クラス図を用いた第三者との正確なコミュニケーション能力」の獲得である.本研究では,この目標に到達するための学習支援を目的として,UML静的モデル(クラス図とオブジェクト図)の多重度を診断するシステムを開発した.本システムの特徴は,クラス図-オブジェクト図間の矛盾の指摘(一貫性の診断)だけではなく,曖昧である箇所の指摘(明瞭性の診断)を行うことにある.一貫性と明瞭性の2軸によってモデルを評価することで,初学者がモデルを曖昧にして矛盾を解消しようとするのを防ぐ. UMLの入門教育を受講中の社会人22名を対象として,本システムの利用の有無による比較対照実験を行った.被験者には,継承,再帰関連,多重関連を含む8関連,9クラスから構成される程度のモデルと,そのモデルの「読み」および「書き」能力を測定する問題が与えられた.その結果,「読み」「書き」共に実験群は統制群より好成績を示し,「書き」の問題に関しては有意差が認められた.実験群の解答過程を分析し,好成績の要因が提案する2軸の診断モデルが有効に機能した結果であることを示した. 2. モデリング初学者のための制約条件を指定できるオブジェクト図自動生成システムの検討を行った。 クラス図理解のためにオブジェクト図を生成する先行研究はあるが、生成するオブジェクト図の内容を制御するものはない。本システムは、以下の条件を付加することによって、学習者が作成(想像)したオブジェクト図に近いオブジェクト図を自動生成し、学習者のクラス図の読解を支援する。1)インスタンス数、2)インスタンス名、 3)リンク、の3つである。
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