研究課題/領域番号 |
25350293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
芝崎 順司 放送大学, 教養学部, 准教授 (60270427)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分散協調教育システム / 視聴反応可視化 |
研究概要 |
双方向型・協働学習に適した、映像に対する学習者の視聴反応を可視化するシステムのプロトタイプを開発し、システムの評価実験を行った。具体的には次の2つのシステムのプロトタイプを開発した。 1)映像に対する学習者の視聴反応を、モバイル端末を利用して、記憶、理解、応用、分析、評価、創造のどのレベルのコメントであるかという分類とともに収集できるシステムを開発した。時系列に沿って学習分類とコメントをタイムスタンプとともに記録する機能や、教授者と学習者が同空間にいる場合でもいない場合でも視聴反応を収集できるようなモードを開発した。 その上で、2)収集した視聴反応データをビデオと連動させて可視化表示させるためのビデオプレーヤシステムを開発した。この可視化システムでは、収集したデータに対して、自分でコメントやその学習レベルの分類を修正したり、反応した映像ポイントを修正したりできる個別学習モードによる視聴と、他の人のコメントと自分のコメントを共有し、他の人のコメントに対して投票することができる双方向型・協働学習モードによる視聴が可能となる機能を開発した。また、学習レベルの分類ごとのコメントを映像の時系列に合わせてグラフ化し、可視化表示させる機能を開発した。 これらの開発したプロトタイプシステムを利用した評価実験を行い、システムが問題なく仕様通りに動作したことと、システム利用の学習効果について一定の評価を得ることができた。しかしながら、システム利用の効果をあげるためには、一定時間システムの利用に習熟してもらう必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映像視聴反応可視化システムの開発という当初の予定を達成することができた。また評価実験を行い、一定の評価を得ることができた。 また本研究の成果の一部として、E-Learn 2013という国際学会で発表した論文が、Outstanding Paper Awardに選ばれ、国際的にも高い評価を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
開発した基盤システムのプロトタイプのシステム評価を機能およびインタフェースや操作性のユーザビリティの観点から実験的に行う。システム評価は、操作ログ分析、ビデオ再現インタビュー法、アンケート法などの方法を組み合わせて行う。 その結果をもとにシステムの改善を図り、公開可能な状態にする。 次に利用評価実験を行い、その有用性、妥当性を検証する。利用評価実験はできるだけ多岐にわたる年齢層、学校種、教科で行い、インタビュー法、およびアンケート法、日記記録法を組み合わせて評価を行う。 また事例の収集を行い、利用事例集としてまとめる。これらの研究成果を国内外の学会で成果を公表し、利用普及を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度についてはシステム開発が主たる活動となったため、研究補助・事務補佐 の要員をパートタイムで雇用するための謝金が発生せず、研究者自身が必要な業務を行った。 次年度については、資料収集・整理、会議開催のための書類手続き・準備、被験者実験のための事務手続き等、煩雑な事務手続き、及び資料整理を必要とするため、研究補助・事務補佐の要員をパートタイムで雇用するための謝金として使用することを計画している。
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