研究課題/領域番号 |
25350303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
尾崎 正弘 中部大学, 経営情報学部, 教授 (50214127)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Web教授学習支援 / Web学習 / eポートフォリオ / e-Note Taking / 授業分析 / Self-reflection / 習熟度別教材 |
研究概要 |
カリキュラムは多様であり、各学部で編成する多数の授業科目はそれぞれ学習内容が大きく異なる。現在、そのように多種多様な学習内容や学習指導法を支援するeポートフォリオ評価システムは開発できていない。本研究では、学習のさなかに適切な学習者支援を実施するためのeポートフォリオ評価システムを研究開発することが目的である。それを実現するためには、従来のテスト結果や学習時間など計数的なデータに頼った学習データ分析手法では限界があり、本研究では計数的データ分析に加え、学習過程で採取した質的データ分析法を融合した評価方法を開発する。まず平成25年度は、教材の作成と基本的なシステム開発を実施するためのインフラを構築するために、以下の研究を実施した。 ①多様な授業内容や授業形態を考慮したeポートフォリオ評価を実施するために、複数のWeb教材の開発および仕様変更に伴う改良を実施した。②多様な学習データの採取と、新たに質的データとして「つぶやき」(学習内容の理解度や学習時の感性データ)を採取する機能を開発し、既存のシステムに組み込んで実験を実施した。③テキストに加え音声や映像など多様な教材データを活用するために、リスニング用音声教材の開発を実施した。④既存のシステムを活用して、本研究を遂行するために必要なeポートフォリオ評価法の開発に向けた基本的機能の評価実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的を実現するために、平成25年度はつぎの作業を実施した。 ①複数のWeb教材の開発および改良を実施した。英文法Web教材(習熟度別学習評価+Web教材提供)、IT試験対策教材(受験レベル評価+ナゲーション支援)、主たる新規開発Web教材として「総合英語Web教材」(リスニング付加)を開発した。②質的データとして「つぶやき」(学習内容の理解度や感性データ)を採取する機能を開発し、既存のシステムに組み込んで実験を実施した。当初は、平成26年度に実施する予定であったが、前倒しして平成25年度に実施した。③テキストに加え音声や映像など多様な教材データを活用するために、リスニング用音声教材の開発を実施した。ネイティブ・スピーカーによる英語音声データの開発は完了した。しかし現在、Web関連のソフトウェアは世界的に大きな標準仕様の変更が進行しており、Web環境を取り巻く不安定な技術的な要因をいかに克服すべきか検討を重ね、安定したシステム開発環境を構築の上、専門的な技術機能は、平成26年度システム開発作業の一部をWeb開発企業に発注する予定である。④本研究は、学習履歴をリアルタイムで学習者や教授者に提供することであり、効果的なeポートフォリオ評価法およびその機能を開発することが目的である。平成25年度はそのために必要なデータベースを開発した。 平成25年度のシステム開発に向けた基本的な準備作業は、上記のように③の作業を除き実施した。しかし、研究スケジュールの停滞を避けるために、平成26年度に実施する予定であった質的な学習データの採取とそのために必要な機能の開発および評価実験を、優先させて実施した。具体的には、現在、実用化している授業実験システムの中に、学習のさなかに学習者の「つぶやく」機能を開発し、それを組み込んだ実験を実施した。その実験成果については平成26年度の学会発表等で公開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前年度に開発したシステムを用いた授業実験を実施する。複数の実験授業を同時に実施するため、「IT入門・基礎(国家試験対策併用)」、実習系科目「日本語ワープロ演習」は研究代表者である尾崎が担当し、演習系科目「英文法」、講義系科目「総合英語」は連携研究者である杉村が担当する。また、春学期の授業実験結果から教授者が選択し学習指導や授業評価の結果についてeポートフォリオ評価方法に関する分析を行い、各教授者に対応したeポートフォリオ評価のための学習機能を開発する。そして、秋学期に授業実験に向けたシステムの改良を実施する。それら一連の分析結果については、広く情報を公開して他の研究者からの評価を受ける目的もあり、国内および国際学会等への報告(予算申請)を応募者らが実施する。 平成27年度は、多様な授業に適応させるために前年度に実施した分析結果から必要な改良を実施し、改めて学習実験を実施し、その結果を分析評価する。また、それらの研究成果は学会等(予算申請)で公表する。計数的データと質的データを連動させたeポートフォリオ評価方法の提案と複数授業科目に適応できるシステム (操作性を重視) の開発は、実用性が高いものと考えている。特に、複数の授業科目や教授者、そして習熟度の異なる多数の学習者に対応させるためには、的確な評価項目の提供と教授者、授業科目などに適応したすぐれた学習機能の開発が重要である。最終年度では、複数の授業実験を実施した結果をまとめ、完成したシステムを用いた授業方法をWebサイトで公開するとともに、研究成果を取りまとめた論文投稿(予算申請)など、さまざまな手段を用いて広く研究成果を公開する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
テキスト以外に音声や映像など多様なWeb教材をWeb学習支援システムに組み込み、また学習のなかさに学習者の感性的な情報を含めた学習状況を音声で記録させ、それら多様なデータをeポートフォリオ分析評価に反映させる予定である。しかし現在、Web関連のソフトウェアは世界的に大きな標準仕様の変更が進行しており、本研究開発に関連するWebブラウザ、Jave言語、PHP言語、HTML5言語などの仕様変更も実施されており、Web環境は非常に不安定な状態にある。そのため、当初予定していた平成25年度には音声や映像をWeb教材に反映させる機能を正常に開発することができなかった。 そこで、Web開発企業の専門家の協力を得て新しいWeb環境でも安定的にWebシステムを稼働できるように仕様を変更した。平成26年には、その仕様変更により平成25年度に予定していた大学院生の開発作業補助費とWeb教材作成費を加え、新しい専門的な技術を要する機能については、それらの費用を用いてシステム開発作業の一部をWeb開発企業に発注する予定である。
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