研究課題/領域番号 |
25350321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
刑部 育子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (20306450)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学び / 可視化 / 記録 / 外化 / 保育実践 / メディアの活用 |
研究概要 |
本研究は保育実践における保育記録の活用方法の変革が、保育環境構成や保育カリキュラム、保育の質の向上に効果をもたらすと考え、子どもの学びのプロセスを可視化する新たな記録の出力の方法論を開発することを目的としている。以下の4点を大きな軸として研究を進めている。1. 保育記録の先駆的な活用方法を探究している国内外の保育実践・研究の調査、2. 実践現場での記録の可視化の実験的試み、3. 新たな形のプロトタイプの制作を行い、4. 学術発表のみならず、実践展を企画し、社会へ発信する。 平成25年度の実績として、学びのプロセスの記録の外化に対し、開発してきたビデオツールCAVScene(著作:お茶の水女子大学)が印刷機能を伴って新たに完成したことがあげられる。2014年2月よりApp Storeにより無料でダウンロードできるようにすることで、一般での活用が始まり、社会的普及に貢献した。 1の実績として、イタリア:レッジョ・エミリア市立乳幼児学校を統括する国際センターを訪問し、ドキュメンテーションセンターのコーディネーター、および各乳幼児学校でドキュメンテーションの可視化に大きく貢献しているアトリエリスタ(美術専門家)にインタビューし、記録の外化に関する方法について調査した。2、3の実績として、研究協力園の研究紀要を大幅に変える試みを行い、文字中心の実践記録を視覚性重視の記録に変革した。この変革は、写真や映像の記録を用いた実践者との対話の積み重ねとデザインや編集技術に詳しい専門家にも関わってもらうことで実現した。4の実績として、「学びの可視化」を試みた教育実践展覧会を開いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は本研究期間の3年間の初年度であり、研究の概要で示した4つの大きな軸の1と2のみを実施することが計画されていた。しかし、3と4についても大きく進展させることができた。「3. 新たな形のプロトタイプの制作」では、研究協力園の研究紀要として実現した。また、ビジュアルドキュメンテーションとして、研究協力園とともにパネル制作を行った。最終年度までに実施したいと考えていた「4. 学術発表のみならず、実践展を企画し、社会へ発信する。」という目標に対し、初年度より、実践展を企画することが出来たことは大きな成果である。これらのことは、研究協力園の実践者たちの努力と意欲によって成し遂げられ、本研究が教育実践の質の向上にも効果を及ぼしたことを示していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は本研究期間の3年間の初年度より、研究の概要で示した4つの大きな軸の全てで研究を進展させることができた。今後は、 1. 保育記録の先駆的な活用方法を探究している国内外の保育実践・研究の調査についてはレッジョ・エミリア市の幼児学校の調査の他にも国内外の他の保育実践の現状をさらに見ていく必要があると考える。今後は調査の成果についても順次、発表や報告をしていくこととする。 2. 実践現場での記録の可視化の実験的試みについて、さらなる記録の可視化の課題も探ることとする。 3. 新たな形のプロトタイプの制作については、複数の研究協力園のうち一つの園で「紀要」という形で大きな成果を上げることができた。他の園でも進行中なので、今後は可視化の多様性についても研究していくこととする。 4. 学術発表のみならず、実践展を企画し、社会へ発信することについて、今後は成果発表を国内外で行い、実践展については試験的な段階から、さらなる改善をしてよりよいものにする努力をしていきたい。
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