研究課題/領域番号 |
25350323
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高橋 純 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (10310757)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ICT活用 / 学習指導法 / フィンランド |
研究実績の概要 |
昨年度に明らかとなった課題から,より多くの学校で,多くの授業を参観することを通して,ICT活用による学習指導高度化モデルに必要なデータを得ることを試みた.また,一般的な学校のみならず,先進的なICT活用のモデル校となっている学校も含めて,様々なタイプの学校を訪問することを試みた.そして,トゥルクにあるLuostarivuori中高等学校,Waino Aaltonen学校,Vaha-Heikkil小学校,Topelius小中学校の4校を訪問し,各校で2~3つ計10件の授業を参観し,校長や情報担当など関係者にインタビュー調査を行った.同時に,教科書や教材,掲示物等の翻訳も行った. 授業の導入の段階では,一斉指導が基本であり,教員が実物投影機或いはPCとプロジェクタを用いて,教科書や資料等を拡大提示していた.一部において,指導者用デジタル教科書が用いられていた.これらの方法は日本とかなり似ていた.工夫の仕方も一部参考になる部分もあるものの,基本的な方向性は同じであった.日本と異なる点は,中学校において生徒が私物のスマホを使って,教員の提示している資料を閲覧しているケースがあったことである.昨年度もヘルシンキで同様に生徒が私物のスマホを活用していた. 授業の展開からまとめの段階では,一斉指導ではなく,個別,グループ学習が基本であり,ここでは学校が準備したタブレット端末やワークシート,理科であれば実験が行われていることが多かった.この段階においても,私物のスマホが用いられていることもあった.但し,学習指導法や学習課題の質,ICTの活用方法,教室のICT環境も様々であり,まだ事例が少なくモデル化には充分ではないと考えられる.今後,これまで英国や韓国で行ってきた授業観察や比較の方法を用いて対応していきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4校を訪問し,10件の授業を参観し,様々なICT活用授業の事例を収集できた.また,インタビュー調査も行うことが出来た.また,文化や歴史の異なる海外の授業をモデル化するための手法を得るために,既に多くのデータが取得できている韓国を事例に検討し,査読論文として公表した.
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今後の研究の推進方策 |
授業の導入部分に関してはかなり具体的に明らかとなった.ただし,展開からまとめの部分は非常に多様な方法が,担当の教員の裁量で行われていることが明らかとなり,いわゆるフィンランドメソッドというように一括りにできないことが明らかとなった.学習指導のモデル化のために,さらに様々な授業記録を得ると共に,分析の軸を得るために教員の指導法の種類やそれらの選択理由などについてインタビュー調査等を通して検討を行っていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
為替レートや翻訳・通訳謝金が予定よりも安価となったこと,年度末の海外訪問であったために収集資料の翻訳の追加の依頼が出来なったことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
収集資料の翻訳に用いる.
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