最終年度の27 年度は、当初研究計画に沿って次の3つに取り組んだ。まず、「学校研究におけるシステム思考の活用研修の可能性検討」については、ICTを活用した授業力向上をテーマにした学校研究に焦点化した。その取り組みに関わって、教員自身が自分の授業力を振り返り、研究主任がそこから学校全体の組織的な授業力向上の戦略を立てれるように、「技術に関わる教育的内容知識(Technological Pedagogical Content Knowldge:TPACK)」の理論を参照した。研修主任がシステム思考を用いて、TPACKを参考に研修プログラムを実施し、どれくらい教員のTPACKに変容が起こるか、その結果を用いて、次の研修計画を立てていけるかについて、教職大学院と連携校の研修でその検討を行い、知見を引き出すことができた。 次に、「学校研究におけるシステム思考の活用研修ハンドブック開発」については、25年度と26年度に得た知見である「管理職によるミドルリーダー支援の方法」「ミドルリーダー研修の内容と方法」「教員のアセスメント・リテラシー・チェックシートを用いた取り組み」に、上記のTPACK理論を活かした「ICTを活用した授業力向上の取り組み事例」など集録したハンドブックを作成し、その成果発表(日本教育工学会での一般研究で成果発表)と運用評価を行った。 最後に、学校研究及び若手支援で求められるミドルリーダーのための知識・技能に関するリフレクションツールの開発」については、アセスメント・リテラシー・チェックシートの改良やTPACK省察のためのマインドマップ作成方法を明らかにした。そして教員のアイデンティティと学校組織について、レジリエンスの視点から考える研究にも目を向け、その翻訳本を出版し、支援ツールの1つ(テキスト)として加えることができた。以上、平成27年度は上記3点に取り組んだ。
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